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僕とお姉様
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僕とお姉様〜僕の気持ち〜-1

好きな子と父親のラブシーンを見た翌日にちゃんと登校する自分はある意味すごいと思う。授業の内容が頭に入らないのは別として。


ひばりちゃんからメールが届いたのは下校直前。

『今夜、一緒にご飯食べに行かない?』

…何で?
昨日の言い訳なら死んでも聞きたくない。
改めて結婚の経緯を話されても困るし、大体そのスリーショットって傍目には分からないが完璧僕が邪魔者じゃないか!!

『俺はいいや。父さんと2人でどうぞ』

少し嫌みったらしい文章を送信した。

『お父さんは今日ご飯食べて来るんだって。お姉さんも今夜は出かけるってメールが来たから』

お姉さんってあのお姉様か。
何で僕じゃなくてひばりちゃんに言うんだよ。
いや、それよりも。
2人で出かけるって事?
デート???
つい昨日、好きな人ができたら二千円なんて賭けを始めたばかりなのに、突然降って湧いた放課後デートに心が踊る。

『なら、いいよ』

浮かれてるとバレないように素っ気ない返事をした。
相手は父親の再婚相手、つまり義母。それは分かってる。
だけど、だからって簡単に気持ちは変えられない。
そりゃ昨日の事は忘れてないけど…、でも僕はひばりちゃんに会いたかった。
家にいる状態じゃなくて、普通の高校生のひばりちゃんに会いたい。



待ち合わせ場所は電車で5駅目にある典型的な郊外の大型ショッピングセンター。
委員会があるから少し遅れるとの事だけど、人を待つ事がこんなにもワクワクするなんて知らなかった。

ひばりちゃんは16歳で結婚をするなんて誰も思わないくらい頭のいい子だ。通う高校は県内屈指の進学校だし顔も可愛いし性格も真面目で優しくて…
それが何であんな中年男となんかっ!!!!
…いかん、考えたら腹が立ってきた。今は父さんの事は忘れよう。純粋に好きな子とのデートを楽しむんだ!


平日夕方の空いた店内を時間潰しにうろうろしていて、一軒の雑貨屋の前で足を止めた。
小さく狭い店内には食器やアクセサリーが行儀良く並んでいて、あまりにもサッパリした様子に売る気があるのかと疑問に思ってしまう。ただその雰囲気が逆に気になって足を踏み入れてしまった。
一通り店内を見て最後に目に入ったのは何の変哲もないごく普通の箸。
自分が欲しいわけではない。
この前お姉様が割り箸でカップラーメンを食べていたのをふと思い出したから。
話を聞いてもらったし一応励ましてもくれたし…こんなもんでもお礼になればいいんじゃない?
心の中で言い訳をしてレジに向かった。

「315円です」

我ながら安いお礼。

「値札外して下さい」
「プレゼントですか?」
「え、あ、…はぁ」
「ではラッピングしますからこの中から包装紙の柄を選んで下さい」
「へっ!?じゃあこれ…」
「リボンの色は何色にしますか?」
「色?いや、あの、適当で」
「お任せで宜しいですか?」
「はいっ」

予想外の展開に挙動不審に陥る僕を怪しむ事無く店員のお姉さんは笑顔で対応してくれた。


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