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しにがみハート
【コメディ 恋愛小説】

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しにがみハート#8-1

「うっわ…大きいですね…」
街の中心にある映画館を見て、思わず絢芽は感嘆の声を漏らした。
それもその筈、この映画館は市内最大の映画館なのだった。



「理人の野郎…遅ぇ」
遅ぇ、遅すぎる!!
約束の時間は午後1時。現在の時刻は午後2時半!!
あいつから約束しやがったくせに…。
「わ…電気ネズミ可愛い!!」
絢芽は興奮しっぱなしで時間なんて忘れてるし…。もう結構知り尽くした感がある俺にとって1時間は長すぎる。うん。長すぎる。
「おぅ。待たせた」
「こんにちは」
あたかも普っ通に平然と当たり前の如く日常的に現れた理人と姫雪。
「りぃ…とぉ…!!」
「うぉ? どうした? あぁ、何見るか? 時代劇か!!」
「違うわクソ野郎!!」
「ぐはッッ!!」
俺のドロップキックを喰らい、5Mは軽く吹っ飛ぶ理人。
「俺が何をした!?」
あくまで俺は悪くない、的な発言をする理人。
「今何時!?」
「2時半…?」
「待ち合わせの時間は!?」
「1時…」
「誤差は!?」
「1時間半…」
「とぉ!!!」
「ぐはぁッ!!!」
またまた5Mは吹っ飛ぶ理人。
「謝れ」
「う…うぅ」
「謝れ」
「まぁ待て孝紀!! ここは話…」
「謝れ」
「ごめんなさい…」
観念したのか素直に理人は謝ったのだった。
■■■

「で、何観るんですか!?」
もう待ち切れない、といった感じで絢芽が言う。
「失恋モノとか…SFモノとかあるな」
広告を見ながら理人が言った。
「…失恋はちょっと興味が…」
「お、ひゆきちゃんマジか!! よし失恋モノにしよう!!」
「……良いのか絢芽?」
「孝紀さんと一緒ならば〜♪」
こう…照れる台詞をぬけぬけと…
「そうとなったらチケットを買ってこい理人!!」
「任された!!」
理人は張り切ってチケット売り場へ向かっていった。
「絢芽さん」
「はいはい?」
「失恋モノ、楽しみですね」
「…そうですね♪」
絢芽と姫雪が話を交わす。
なんかめっちゃ感情が篭ってない気がするが…大丈夫か?
「チケットGET!! 行くぜ4番ホール!!」
 理人がチケットを各々に配り、俺達は4番ホールに向かった。

■■■

 4番ホールに到着すると、既に観客が疎らに集まっていた。俺達はチケットに書いてある番号の席に向かい、シートを下げて座った。
「スクリーン…でかっ!!」
「まぁ映画館だしなぁ」
 シートに座りながら、絢芽はスクリーンを見て驚いていた。
「ほれ、始まるぞ?」
 巨大なスクリーンに映像が映し出され、映画上映が始まった。


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