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Twilight Closse
【青春 恋愛小説】

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Twilight Closse外伝〜西野そのみの攻防〜-2

10時まで店の仕込みの手伝いをさせられて、休憩をもらった。
お昼時なのにそんな無理が通るのは親父のお陰だ。
「目に光がある」と言う理由で一発OK。流石漢。話が分かって助かる。
最寄りの本屋で立ち読み。いつもの料理本じゃなく、クラスで派手な女子が見てたファッション雑誌。
こんな姿、友達に絶対見せらんない。見知らぬ人に見られる事すら恥ずかしいのに、
知り合いなんかに見られたら…なんつーか、即死?
パラパラめくって要所を見ていると、新しい客が…て、

十字朗?!

ああ、これがザキね…初めて食らったわよ…
でも、結構いい物ね…好きな人の顔を見ながら死ねるって…
と、当の十字朗はこっちに気が付いてない!

まだだ!今なら逃げ切れる!

私は本棚の影に隠れ、様子を伺った。
やっぱり気付いてない。やばい…心臓がバクバクしてきた…これ以上ここにいたら…
このまま出口に…
「あ…」
声が漏れた。
こっちはまだ見つかってない。でも私の声の原因は奴にあった。

凄く悲しい顔をしてる。

逃げなきゃ。
今は準備(服とか心とか)ができてない。
逃げなきゃ。
逃げなきゃ。

「はぁ…バカか俺」

ダメだよ…そんなのできない。
「独り言?平野」
とても見てられない姿の十字朗に、私は声をかけたのだった。

やばいやばいやばいやばいやばい!!!
うっかり声を掛けちゃった!ダメ!直視したら悟られる!
いや、悟って欲しいかも…やっぱダメ!まだ心とか体とかの準備とかがッッッ!
あああああぁぁあぁでも目が離せない!私服の十字朗!ラフな十字朗!
何か、何か話題!何かこの状況を打破してなおかつこいつを元気にする話題!
「何でここにいるの?」
「何って…本を読みにだよ」
「アンタの家の向かいに、ここより品揃えの良いところがあるじゃない」
だぁぁぁぁぁぁ!バカァァァァァァァァ!
いかにも『あんたなんか会いたくもなかった』的な台詞じゃん!何やってんの私!
「何だって良いじゃないか。お前には関係無いだろ」
あぁ!やっぱり!物凄く不機嫌だ!
何か繋ぎを…何か繋ぎを…
「アンタを把握してないと、見返す事すらできないでしょ。分かりなさいよ」
「プライバシーの侵害だ。勝ち負けとかつまらない理由で人を振り回すな」
「プライバシーとかどうとか言う前に、私の個人としての尊重は…」
よし…これで少し考えることができる。
どうせいつもの事。十字朗は私の長話なんて聞きゃしないから、適当な事を言ってても気付かれない。
このまま、この場を硬直させて少し考えよう。
まず、十字朗。いつもは私といると面倒くさそうな顔をする筈なのに、今は上の空。

…もっとも、私のせいで面倒くさそうにしてるんだけど…
何か、別の方法で聞き出さないと…


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