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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜アガパンサス〜-5

あおぞら商店街。ここは駅前にあり、本屋、八百屋、魚屋などが色々な店が揃っており欲しい物がだいたい揃うので地元の住民はよくここに来る。娯楽施設も充実しており一行は『カラオケ爆音』へと移動していた。
「さぁ〜て、何歌おっかな〜」
「ふっふっふ、俺の美声を聞かせてやるぜ!」
「私カラオケって初めてです」
「そうだね、あやなは全寮制の学校にいたからね」
「ほぅ、ならあのお嬢様学校か」
学校が終わった事により全員が上機嫌になってなんでもない会話を楽しんでいた。
「………」
そんな中誠だけは会話に加わらずに商店街の一角を見ていた。
「よっしゃ着いたぜ…ってどした誠?」
「悪い、先行っててくれ!」
そう言うと誠は人ごみの中に消えていった。
「ありゃ?神那君どしたのかな?」
「多分…見つけちゃったんだよ」
「見つけたって何を?」
「行けばわかる」
「ったく!あの究極のお人よしめ!」
信太達は誠を追うべく人ごみの中に入っていった。


香織の予想はずばり当たっていた。
「うぅぅ…えっぐ…」
誠が見つけたもの。それは迷子だった。
「どうした坊主?かあちゃんとはぐれちまったか?」
誠は相手に目線を合わせるために屈みながら話しかける。
「えっぐ…うん」
迷子の子供は散々泣いたのか落ち着いており誠の質問に答えた。
「そっか、名前は?歳はいくつだ?」
「けんた…5さい」
「5歳っつったらもう小学生じゃねぇか。小学生になるんだからかあちゃんとはぐれたくらいで泣いたら格好悪いぞ」
「ううぅ…」
健太の目元にじわっとまた涙が浮かぶ。
「あぁ悪い泣くな、別にいじめに来たんじゃないんだ。一緒にかあちゃん捜してやろうと思ってな」
健太を安心させようと頭をガシガシと強めに撫でる。
「ほんとう…!?」
「あぁ。絶対かあちゃん見つけてやるからな。ほら、でかいガムやるから元気出しな」
「うん、ありがとうお兄ちゃん!」
ポケットから取り出したガムを健太に渡すと健太は初めて笑顔を見せた。
「よし!ならさっそく…!」
「じゃ私達はあっちを当たってみるから」
「なら俺達はこっちだな」
「うわっ!?びっくりしたぁ…」
後ろを振り向くと別れたはずの友人達がそこにいた。
「一人で捜すよかマシだろ」
「早く見つけてあげないと」
「うぅ…俺はいい友人を持ったもんだ」
「さぁさ、そのコの為に捜しに行きましょ〜」
それから皆で商店街を歩き回り健太の母親を捜し始めた。


それから程なくして健太の母親は見つかった。なんでも激安バーゲンに夢中になっており忘れてしまったそうだ。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう!」
「本当にありがとうございました」
その時の二人の笑顔が歩き回った体から疲れを取り去ったような気がした。
「いや〜よかったね健太君」
体をグッと伸ばしながら理菜が言った。
「あぁ、カラオケは潰れちまったがな」
健太親子と別れた時には日も傾いてしまったので結局カラオケは中止となってしまった。
「ぐっ…面目ない」
「まぁ誠と遊ぶ時はこんな事があるんじゃないかと思ってるから。あんまり気にしなくていいよ」
「そんな風に思ってたんかよ!」
「当然だ。…あぁ俺達はこっちだな」
「あっアタシはコッチ〜」
「私達はこのままだね」
十字路でそれぞれの方向に別れる。
「じゃあ今日はお疲れ様でした!また明日ね〜!」

理菜の言葉で場を締め括りそれぞれ帰路についた。


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