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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜アガパンサス〜-3

「まぁそう言うと思ったよ…いいさ、後悔させてやんよ!」
誠は目を妖しく光らせながら手の骨をボキボキとならした。
「俺達ラップブラザーズの力見せて…!」
「喧嘩ラリアット!!」
「ぐはぁっ!」
不良Cが台詞を言い終わらないうちに誠は必殺の一撃を決めた。
「ひ、人の話は最後まで…!」
「全戦全勝脚!!」
「あべしっ!」
「翼馬連撃拳!!」
「ぶるぁぁっ!」
ものの数十秒で誠はラップブラザーズを叩きのめした。
「つ、つぇえ…」
「なんだこいつ…」
「げぇっ!よく見りゃこいつ銀髪!まさか…斗有中の大悪魔…!」
斗有中学校には悪魔がいた。それはヤクザが束になってもプロの格闘家が挑んでも圧倒的な勝利を掴んだという。その実力を持ちながらも悪行はせずに善行を行っていると。そして…その悪魔は銀髪だったと。
「さぁ…これからどうすんだ?」
「「「し、失礼しましたぁ!」」」
ラップブラザーズは相手がわかると一目散に逃げだした。
「やれやれ…さてと」
誠は姿が見えなくなるのを確認すると女の子の方を振り向く。女の子は目の前で行なわれていた事が恐ろしかったのか尻餅をつき震えていた。
「……」
誠は制服の上着を脱ぎ女の子に羽帯わせた。
「…えっ?」
「そんな格好じゃ帰れんだろ?ほれ、立てるか?」
そう言いなが屈みながら手を差し延べる。
「は、はい…」
戸惑いつつも手を出し立ちあがる。女の子は前髪で隠れているので顔が見えなかったが困惑しているのが雰囲気でわかった。
「今日は俺がいたからよかったけど今度あんな目にあったらでかい声出しな。この辺の人達はいい人ばっかだから助けてくれるからさ」
「はい…あの、ありがとうございました。」
「いいさ、慣れてるし。じゃあな、気をつけて帰れよ」
誠は言いたい事を言い体を反転させその場を去ろうとした。
「あ、あのっ!これ…!」
女の子は上着を掴みながら誠を呼び止めようとする。
「ん?あぁ今日で卒業したからいらんのよ。家帰ったら捨ててくれて構わんから」
誠は振り向かず背中で返事をし歩を進めた。
(今日の事は話したらまた信太あたりに怒られそうだから黙っとくか…)
誠は心でそう呟きつつ軽く溜息をつき、まだ微かに残る鬱憤を晴らす為にバイト先に向かう。
「………」
その姿が見えなくなるまで女の子は見ていた。誠はそれには全く気づかなかった。女の子はその日芽生えた気持ちに気づかなかった。この日の出来事が二人の運命を決めてしまった事に誰も気づかなかった。


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