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clumsy
【学園物 官能小説】

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clumsyXclumsy-1

「おい…」
「な…に?」
「おいってば…」
「だから…何よ。」
「何じゃね-よ!!こっち向いて喋れ!!馬鹿!!」
「いひゃいいひゃい!!」

ーcrumsyXcrumsy

「い-た-いぃぃ〜…」
槙(まき)は頬をさすりながら机に顔をうずめた。
泰牙に頬を抓られ、頬は未だ赤く熱をもっている。
「馬鹿泰牙…」
ぼそりと呟いた言葉は、昼休みの五月蝿い教室に消えた…はずだった。
「誰が馬鹿だ、馬鹿女。」
「ぎゃ!!」
(聞こえてた…!?)
後頭部に軽い衝撃をおぼえ、顔を上げる。
犯人は誰か…なんて愚問だ。
「あたし馬鹿じゃないも-ん…!!」
「馬鹿だろ?あ、コラ!!」
泰牙が短く声をあげる。
理由はわかってるんだ。その理由は…
(言えない…恥ずかしくて、泰牙の顔が見れないだなんて!!)
…という事なのだ。
(だって…だって…)
今まで喧嘩友達だったのに急に恋人だなんて…と槙は思った。
(恥ずかしいじゃない…)
槙は正直、急すぎる展開についていけないでいた。
「…」
当然、槙の事情を泰牙が知るわけもなく…泰牙は不機嫌な表情を浮かべていた。
「…」
「槙。」
「…何?」
「…いや。」
泰牙はやっぱりいい、と言い、離れていった。
(あ…)
ちょっとだけ胸がチクンと痛んだ。
(今までどんな風に接してたんだっけ…)
槙は頬杖をつき、目を閉じた。
(わかんなくなってきた…)
考えても答えなんてでなくて、ちょっと泣きそうになる。
(だって…だって…泰牙とは友達だったし…)
必死で言い訳を考えてる。
(…何も言い訳する事なんか…ないのにな)
思わず自嘲した。
(あ〜ぁ、“コイビト”ってどんな風に接するんだろ…)
わからない事ばかり、と槙は窓の外に呟いた。
(…好きなのに…)
もどかしい気持ちをどうにも出来なくて、槙は席をたつ。
五月蝿い教室をあとにして、宛もなく歩いた。
「…屋上行くのか、あたしの足は。」
無意識のうちに槙の足は屋上へ向かっていた。
「あ。」
昼休み終了を告げるチャイムが響いた。
「…サボろ。」
モヤモヤしてた気持ちで右斜め前の奴(泰牙のことね)なんかみたくない。
トントンッと一歩ずつ屋上への階段を登る。
自分だけの足音が耳に響く。ひどく心地よかった。
ーガチャ
「わッ…」
空が近い。
扉を開くと、視界に広がるのは青く広い空と…
「泰…牙」
寝転がる泰牙の姿だった。
「…?」
(寝てる…)
彼はどうやら寝ているらしく、規則正しい呼吸に胸を揺らせていた。
「…」
久しぶりにきちんと泰牙を見た気がした。
「ッ…」
(…ごめんね、素直になれなくて。)
槙は泰牙の隣に腰を下ろす。
(本当は…普通の恋人同士みたく接したいんだけど…ね)
槙はそっと泰牙に手を伸ばす。
(どうやらあたし、恥ずかしがり屋みたいで…。ウマく接せないみたい)
頬にかかる髪をどかした。
(触れたいって…本当は思ってる。)
(ウマく感情が言えたらいいなって…)
(でも…)
槙は苦笑した。
(あたし…不器用なんだ。)
槙はそっと泰牙の手に自分の手を絡ませる。
(今だけ…ちょっとだけ…)
本人の前では素直になれないなら、せめてこの時だけは…と、槙は目を閉じた。
(泰牙が起きる前に起きないと…)
手から伝わる泰牙の温もりは、槙を安心させ、それにともない槙の意識は深く深く沈んでいった。


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