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いつもの場所で
【青春 恋愛小説】

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いつもの場所で-10

そして、日曜、俺らは決勝の舞台に立った。
(絶対ゴール決めてやる!そして、玲緒那に告白するんだ!!!)
俺は観客席を見る。応援にきた生徒たち。保護者、ただ見に来ただけの客。
辻先輩狙いの客、渡部先輩狙いの客。俺狙いの客は・・・・・いなかった。
(くっそ!!結局作者俺に一度も花を持たせないのか!!!!)
玲緒那は・・・・来てるのか?いくら目を凝らしてみてもわからない。
急に不安になる。来てくれなきゃ俺の告白は無駄になる。
ミーティング中も、ウォーミングアップ中もおれの心はハラハラしてた。
そのハラハラは試合開始直後まで続いた。
試合開始直前、応援に来た生徒の中に紛れた玲緒那の姿を見つけた。
多くの人がいるのに玲緒那だけがはっきりとわかった。
(・・・俺それほどはまってるんだな・・・)
玲緒那を見てると玲緒那も俺に気づいたらしく手を振ってきた。
手を振りたかったが、恥ずかしくてできなかった。
玲緒那を見つけて俺の心は晴れた。
ぜってぇ勝って告白する!!そして俺は魔王と化した。
前半、俺と渡部先輩などが果敢にシュート打つも中々点は入らない。
気合が空回りしてるようだ。
焦る。両者とも0点のままハーフタイムを迎えた。
「お前らシュート打てばいいってもんじゃないだろ!!計算してすきをついてシュートだ!乱雑にやっても入らないのは当たり前だ!よく考えろ!考えながら行動しろ!」
監督が俺らを一喝した。俺ははっとした。
そうだ、俺は熱くなりすぎてた。玲緒那にいいところ見せようとして。
勝たなきゃ意味がない。
「監督の言うとおりだ。冷静になろう。確実に点を取るんだ。」
辻先輩がみんなに呼びかける。
そうだ。冷静に。確実に点を取る。
 
 
後半戦が始まった。相手チームも確実に点を狙いに来ている。マークが激しくなったのを感じる。
ボールの奪い合いが激しくなる。
中々、ボールが前に進まない。けど、焦ってはいけない。
焦ったらファールを取られて相手にチャンスを与えるからだ。
0対0のまま後半戦も佳境に差し掛かる。
疲れて来てはいたが、最後まで冷静さを失わなかった。それはみんな一緒だった。
相手チームのプレーが雑になってきたのがわかった。疲れて来ている上に焦りも見える。
冷静になると相手チームの考えが手に取るようにわかった。
そして、俺は一瞬の隙をついてマークを振り切る。
辻先輩から欲しい場所にいい感じにパスが来る。
ゴールを狙おうとしたとき、後ろから押されて俺はそのまま倒れこんだ。
ホイッスルが鳴る。ペナルティーキックだ。
押した相手選手はイエローカードを出せれている。
渡部先輩が近づいてきた。
「大丈夫か?シュート俺が打つか?」
「いえ、大丈夫です。打たせてください。」
辻先輩も近づいてくる。
「渡部に任せたほういいんじゃないか?大丈夫か?」
「俺に打たせてください。お願いします。」
2人は目を見合わせた。
目で会話する。俺にはなんていってるのかわからないが、きっと相談しているのだろう。
「じゃぁ、お前に任せた。優勝はお前にかかってるからな。」
と渡部先輩。
「冷静になれば打つべき場所が見えてくるよ。大丈夫。」
辻先輩が笑顔で言う。
「・・・あと、お前なら橋本を守れるよ。」
耳元で先輩は言ってくれた。
そういうまで長い葛藤があったに違いない。
先輩がもてるのも分かる気がした。
「・・・はい、頑張ります」
ボールを置き、深呼吸する。
玲緒那に告白するため。守るため。このボールを入れる。
後半44分、ロスタイムが3分、これを入れても追加点を入れることは難しいだろう。
この一本、絶対入れる。
俺はキーパーをじっと見る。キーパーの心を読み取る。
そして、俺はボールを蹴った。


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