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今は。そしてこれからもずっと・・・
【ファンタジー 官能小説】

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今は。そしてこれからもずっと・・・-8

衝夢〜絶望の享楽〜


「………ん…」
意識を取り戻した俺は、首を回し辺りを確認する。
「ここは…?」
ここはどこかの公園のようだった。
向こうに見える錆び付いたブランコや、踏み固められた砂場。
霧がかかったようにぼんやりとする頭でこの場所を検索する。
「ここは…学校近くの公園か…?」
そう思いよく見渡してみると確かにここはそうだった。
それにしても、周りは夜で暗く、壊れた電灯は辺りを照らすという仕事をしていない。
この暗闇では普通は一メートル先も見えないだろうが、なぜか俺は充分にあたりを見渡せた。
…やはり俺はもう普通の人間ではないらしい。

「…さてと。」
現在場所は特定できた。
それよりもこれから何をするかが問題だった。
「とりあえず家に帰ってみるか。」
俺は、全身に力の律動を感じ、それを大空へと解き放つ。
ふわっ…と俺の身体は宙に浮く。その背中には鴉のような黒い翼。
バサバサとそれを羽ばたかせ、家に向かった。

家。
辺りに流れる重苦しい音楽。
黒と白で飾られた俺の家。
看板にある喪中の文字。
喪服を着た人々。
「どうやら俺の葬式をやっているらしいな。」
自分の葬式を見る…というのもなかなか出来ない体験だ。
ふと、俺はその会場に飛び込んでいきたい衝動に駆られた。

「…やめた。」
もう俺は、長瀬渡ではないのだ。
いまさら人間の頃の事を気にしても仕方がない。
俺は上空からその様子を見守るだけにした。
ブロロロ……
低い唸り声を上げて霊柩車が走り去った。
泣き崩れる俺の母親と父親、とその周りにいる様々な人たち。
その人だかりの前にも蒲乃菜の姿は見当たらない。
所詮、そんなものだ。いくら俺が蒲乃菜を好きだったとしてもそれは一方通行なのだ。
愛とは、こうも残酷なものだ。
こんな物を夢中になって得ようとしていた人間の頃が馬鹿らしく思えた。
「ふん……」
未だに泣き崩れている両親に踵を返して俺は、その場から飛び去った。


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