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今は。そしてこれからもずっと・・・
【ファンタジー 官能小説】

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今は。そしてこれからもずっと・・・-7

…結局。僕のしていたことはなんだったんだろう。
…結局。僕が生きていた意味はなんだったんだろう。
…結局。僕は蒲乃菜をどうしたかったんだろう。
…結局。………。
―――――――
例えば、欲しいものがあるとする。
しかし、どうやってもそれが手に入らない時、
どうすればいいのだろうか。
我慢すればいいのだろうか。
他人がそれを手に入れ、満足している…その横で。
なんのことはない。
奪えばいいだけのことだ。
欲しいものが、手に入らなければ奪えばいい。
その結果誰が不幸になろうとも。
それは、仕方のないことだから。

「…なあ。」
「…なあ。」
「…なあ。」
静かな眠りに着き掛けていた僕を呼ぶ声。
「……なあ。」
「……誰?何の用?」
「お前…このままでいいのか。」
「………?」
「好きな女を他の男に奪われて、自分だけは自殺して。」
「………」
「お前はそれで満足なのか?」
そんな事を声は聞いてくる。
眠りかけていた僕は、意識を覚ましてその声に答える。
「だったらどうすればよかったんだよ。僕にはどうしようもない事だよ。」
「僕はもう眠るんだ。もう何にも傷つきたくない。惨めな思いも嫌だ。
 だから、僕はすべてを終らせたんだ。」
そう言い捨てて再び眠りに着こうとする僕。

「…えばいい。」
「…何だって?」
「奪えばいい。」
「奪う?」
「そうだ。」
「…馬鹿。それじゃあ意味がないんだよ。」
「…なぜ?」
「彼女が僕を好きじゃないからさ。」
「だから無理やり奪うのだ。」
「馬鹿だな。そんな事をしても蒲乃菜ちゃんに嫌われるだけだよ。」
「…だったら、遠くから見つめるだけのお前に蒲乃菜は振り向いてくれるのか?」
「えっ…それは…」
「だからお前は奪えばいいのだ。お前にはそれしかあるまい。」
「…でも…」
「お前は何も悪くない。これは仕方がないことだ。悪いのはお前の気持ちを踏みにじって、
 しかも他の男と一緒にお前をあざ笑った蒲乃菜だ。」
「…………」
「さあ。俺と契約を結べ。そしてお前を貶めた女に復讐をしてやれ。」
「………そうだな。」
「そうだ。馬鹿正直に純情を貫いたところで惨めなだけだぞ。」
「ああ…それに一度死んだ身だしな。」
「そうだ。いまから俺と契約を結んでお前は生まれ変わる。もう他人にびくびくする事もない。
 傷つく事もない。お前の思うが侭に生きろ。」
「そうだな。今日から僕は…俺になる。」
「では…いくぞ。」
「ああ…もうどうにでもなれ。」

声の主は俺の前に姿を現す。
それは、姿を変えながら確かにそこに在って、でも、なかった。
「最悪にして最強の我が主アスモデウスの名に於いて、この憐れな人間に強大なる負の力を与えたまえ。
 この者は主アスモデウスに服従を誓い、その魂は……」

そして。
強大な黒い光が僕を包み込み、呑み込んでいった。
黒い光は僕の心に入り込み僕の心を絶望で埋める。
絶望というペンキで漆黒の闇に彩られていく僕の心。
「あ・・・ああ・・・」
苦しい…何故僕はこんな目に合わなければいけなかったんだ。
僕は何も悪いことはしていないじゃないか。
…憎い。
俺にこの絶望を与えて苦しめた奴が。
蒲乃菜が。
お前が僕の心を踏みにじってあざ笑ったように
僕もお前に最上の絶望を与えてその苦しむ様をあざ笑ってやろう。
ぼろぼろになって泣く涙すらも枯れ、自らの命を絶ちたくなるほどの絶望を与えてやろう。
すべてを壊す絶望でお前を塗りつぶしてやろう。
ああ・・・僕は・・・君が・・・

「ふ・・・ふふっ・・・」
俺が負の感情で心を埋めた時、俺は苦しみを感じていなかった。
いや、むしろ心地よさすら感じたほどだ。
「それでいい。さあ、お前は今から生まれ変わるのだ。このアスモデウスのしもべの一人として。」
いきなり声が聞こえた。
俺は辺りを見渡すが何もみることは出来ない。
しかし、確実にそれはそこに存在しているのがわかる。

「ふふふ…」
しだいに視界が暗転していく。


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