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記憶のきみ
【青春 恋愛小説】

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記憶のきみ3-3

食事も終わり、全員が席を立つ。
「うまかったー」
「また今度六人で遊ばん?」
「いいねー♪みんな楽しいしー♪」
「そうね」
「よっしゃ、どこ行こか」
「んー…」
『……』
「……」
俺は例によってこういうときは人任せである。
どうやら悦乃も同じようだ。

結局、後日決めることになった。
まぁどうなっても、楽しそうでいいことだ。



その日の夜。

三人は居酒屋“武士道”に集まっていた。
ここは三人の行き着けであり、溜まり場である。
「………でだ、ぶっちゃけ誰がタイプ?」
灰慈が鉄板焼きをつつきながら言った。
「灰慈が先に言えよ」
『………』
そこでは夜な夜な、ありがちな“男子”の会話が繰り広げられていた。
「俺は葵ちゃんやね」
「ほー!」
灰慈の言葉に青空がぎゃーぎゃー騒ぐ。
高校時代に戻ったようだ。
「なんか気が合うし、明るくて可愛いやん!」
『………葵ちゃん、医者の娘だってよ』
「マジ!?」
これは俺が由貴から聞いた話だ。
「灰慈くん、運命じゃないの?よっ!目指せ法律開業医!」
青空は早くも酒が回ってきたようだ。もちろん俺たちは未成年だけども、みんな普通にいけるクチだ。
「じゃあ俺!俺は由貴ちゃん♪可愛いし、なんかああいう女の子って惹かれるんだよねー!もう後ろ髪ひかれまくりだよ!」
青空は酔っても言ってることがよくわからない。
というか、あの三人は誰が見たってレベル高いぞ。間違いなくみんな可愛い。
「瞬は?だいぶ悦乃ちゃんと仲良いみたいやけどー?」
灰慈がニヤニヤする。
『俺は…………』
迷った。
『まだわかんねぇ』
「瞬は相変わらずだなー!」
青空が不満そうに文句を言う。
『………みんな可愛いけど…まだピンとこない』
「なるほどなー…でも、どうせなら俺ら六人でカップル成立させてーわ」
灰慈は、目の前のウーロンハイを飲み干してから言った。
『お前な…もしかしたら、あの三人みんな彼氏いるかもしれねーじゃん」
「まーな…」
なんとなくブルーな空気になってきた。
三人とも別にモテないわけではなかったが、なんとなく持て余しているのだ。
「大学生になったんだし…大人な恋愛を楽しみたいねー」
「やな」
『……』


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