投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

■LOVE PHANTOM ■
【その他 その他小説】

■LOVE PHANTOM ■の最初へ ■LOVE PHANTOM ■ 12 ■LOVE PHANTOM ■ 14 ■LOVE PHANTOM ■の最後へ

■LOVE PHANTOM■四章■-3

「な、何か用ですか?」
靜里が言う。
「まぁ・・用と言えば用なんだが。」
小柄なほうの男は、ペロリと舌を出すと、自分の唇をかるくなめた。
「何のようですか。変な事したら大声出しますよ。」
恐怖が先立って、大声を出すのは無理だ。、と靜里は分かっていた。しかし、今は虚勢を張るしかないということも彼女知っていた。今更になって、このキャンパスへ足を踏み入れたことを彼女は後悔した。そして同時にこうも思った。
(今日は後悔してばかりの日だ。)
靜里はきつく唇をかむ。妙な悔しさが胸の奥でぐるぐる回るのがわかる。
「大声・・・。大声か。それはまずいな。誰かが来てしまっては大変だ。」
小柄な男は再び独り言を言い出した。そしていたずらに笑って見せる。大男のほうは、ただただ震える靜里の方へ目がいっている。
「・・・・そうよ、大声を出したらどうなるか考えなさいよ。」
靜里が言う。それを聞いた男は、一呼吸おいた後、ため息交じりに言った。
「まぁいいか。その時はその時だ」
「!」
そう言い終わるや否や、男は靜里に飛びつき、一瞬うちに彼女を、濡れた芝生の上へ押し倒した。一足遅れて、大男のほうも、倒れた靜里に駆け寄る。
「や、やめ!。」
靜里は、必死に、起き上がろうとする。
「大声出してみろよ!え?。」
だが男の重さが重なり、力が、思うように、入らない。
靜里は細く悲鳴を上げた。必死に押しのける、だが男はひるまない、靜里の頭を片手で押さえた、靜里は歯を食いしばり、余った片手をばたつかせ、ちょうど頭上にある、何か感触のあるものを見つけ、それを、小柄なほうの男に叩きつける。瞬間、靜里の手の内のそれは砕けた。堅くなった粘土である。男は額を押さえ、のけ反り、小さく呻く、そのスキに、と、靜里は上体を浮かせる、だが、大男のほうが、再び靜里を芝生に押し付け、笑った。
小柄なほうの男も、額を押さえながら、彼女をギラリと睨む。さっきまで悪戯に、笑っていたのが嘘のように、男の目には、憎しみしか見当たらない。
靜里は、なけなしの、体力を振り絞り、最後の抵抗にでた。片手で、上に乗っている、小柄な男の顔を叩く、だが効かない、男にはなでる程度でしかないのだ。大男は、やみくもに靜里の、上着をはいだ、冷たい風が、靜里の白い肌をなで、彼女は空に向かって、最後の悲鳴を上げた。もう、靜里は、プライドも、意識も、ぼろぼろになり、消えかかっている。小柄な男は、下をペロリと出し、最後の靜里を隠すものを、剥ぎ取ろうとした。その時である。
 「殺すぞ。貴様ら・・・・」
彼らの正面、つまり靜里の頭上から静かな、低い声が聞こえてきた。驚いた男たちはさっきまで凶器の様に動き回っていた手を止め、声のしたほうを見る。
靜里はほっとした。知っている声だ、そう思ったからだ。
「誰だお前。」
大男が言う。
「靜里から手を放せ。」
声の主は言った。
ゆっくりと、雲の切れ間から月がその姿をあらわにすると、月光が地上におり、静かに動いていく影の中からは、凛とした表情が男たちを見ている。靜里は虚ろな瞳に涙を滲ませ一言、「叶・・・」と、つぶやいた。


■LOVE PHANTOM ■の最初へ ■LOVE PHANTOM ■ 12 ■LOVE PHANTOM ■ 14 ■LOVE PHANTOM ■の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前