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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈波動篇〉-10

「祷(いのり)?どうかしたのか?」

炎に姿をかえた小動物を、おそらく名前なのであろう。青年は祷(いのり)と呼んだ。

祷は頷き、炎で形どられた姿を青年に向けて言葉を伝える。

《はい、マスター。あれは風の精霊・社(やしろ)と申します。》

可愛らしい声で祷は主人である青年に説明をした。どうやら、祷も彼女と表現した方が相応しいようだ。青年が祷の名を呼んだ瞬間、風の精霊は小さな反応を示した。

《祷?祷、何故ここにいるの?その人間は…まさか?》

《ええ、社。この方は私のマスター、日向(ひゅうが)様。そこにいるのは…もしかして?》

彼女達の会話に沈黙が訪れた。日向と呼ばれた青年は立ち上がり、ゆっくりと風の精霊・社の下に歩いてゆく。祷の横を通り過ぎる時に、おいでと誘い、二人は社の目の前で足を止めた。

「きみは風の精霊なんだね。僕の名は日向。不思議な夢に誘われて東の方の集落からやってきたんだ。」

風の精霊・社は不思議そうな顔をした。彼の言おうとする言葉の意味がわからない。しかし、祷の様子から続きがあることを察して黙り続けた。

「その夢は本当に不思議で毎回同じ事のくりかえしなんだ。声と景色だけの夢。」

泣いているのか、哀しげな声で毎回同じ言葉をささやく。お願い、探して。お願い、見つけだして。そして見えるのがここの場所、日向は風の精霊・社に夢の中身を話した。

声の主は女性、うっすらと見える姿でははっきりと顔までは分からないが肌が白く髪は長い。

《見つけだしてとは、何を指しているの?》

「分からない。ただ、ここに来なきゃいけない気がしたから。」

日向の言葉に社は考え込んでしまった。炎の精霊・祷をつれている、その時点で正体は分かっているのだが決心が付かない。

《ここにいるのは我が風の主。もう長く目覚めないまま…。》

ここは聖域。よって結界は張られているのに日向は当たり前のように入ってきた。聖域が拒まないもの。

《祷、あなたの主人だという事は古に縁がある者でしょう?》

《ええ、おそらくは。》

祷は日向を見つめ、自分の中で結論を出した。この深い湖の中、眠りから覚めない主人を目覚めさせれるかもしれない。

《火の力を統べる者よ。こちらへ。》

風の精霊・社は日向に湖の中に手を入れるように促した。先程の痺れもあって日向は警戒するが、社は大丈夫ともう一度促した。

意を決して日向は水の中に手を入れた。その瞬間、日向の手を中心に水が蒸発し始める。

「なっ…なんだ!?」

日向の手を離れても尚、蒸発は止まらず、やがて水に隠されていた石碑が現れて蒸発は止まった。


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