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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み8 〜文化祭〜-7

「よろしく〜」
「はいはい」
 メイクボックスから女の子に合う色を取り揃えると、瀬里奈はメイクにかかる。
「それじゃ、行ってくるね」
 美弥より先にメイクを済ませていた輝里は、同じ三年生の女の子の元に行った。
 輝里も普段から化粧をしないのでファンデーションに違和感があるらしく、頬を撫でながら教室の外に出ていく。
 手芸部員デザイン・縫製の服を着た輝里の出番は、服装のカジュアルさのせいか割と早かった。
「はい終わりっ」
 モデルのメイクを仕上げると、瀬里奈は道具をしまう。
 とりあえずは一段落、という所だ。
 下着姿で人様のメイクを担当していた瀬里奈はメイクボックスをしまうと、大きく伸びをする。
「さぁて美弥、あんたの着付けよ」
 瀬里奈は脇に鎮座しているマネキンから、美弥用のドレスを剥ぎ取る。
「うぅ……」
 思わず、美弥は後ずさった。
「やっぱりやりたくないよぉ……」
「この期に及んであんたはーっ!腹括りなさいっ!」
 瀬里奈から叱咤され、美弥はため息をつく。
「目立ちたくないのにぃ……」
 
 
 体育館のファッションショー用即席ステージに、美弥の前の順番にあたるそこそこ可愛い女の子が出張ってきた。
 服のイメージに合わせた曲と共に、手芸部員の子の声がナレーションを始める。
 ステージに近い場所へ陣取った龍之介は、当然のように視線をその子から外した。
「輝里、可愛かったなぁ……」
 龍之介の隣に座った秋葉は、後ろの席に座る人がモデルを見やすいように体を縮めながらそう呟く。
「そういう事は、当人にきちんと伝えてやんな」
 秋葉の隣に陣取った紘平は、そう言って舞台の袖に目を向けた。
 瀬里奈の出番はまだである。
「なぁ?ヘタレ」
「やかましいっ!」
 自覚があるだけにイタい紘平の台詞に、秋葉は歯を剥き出した。
 もうちょっと根性を出さないと、輝里からいつ別れを切り出されるか分かったものではない。
 いやむしろ、自分の事ながらよく文句も言わずにここまで付き合ってくれたと思える程の、ヘタレっぷりである。
「瀬〜里〜奈〜は〜……まだか〜……」
「今までもそうだったんだ。どうせ、一番最後だろ」
 そうツッこんだ龍之介はステージに目をやり……一声呻いて硬直した。
 ステージの端に、美弥がいる。
 小さく手を振るとそれに気付いたか、微笑んで手を振り返してくれた。
 前のモデルがステージの端に引っ込むと、楓の選んだ曲が流れ始める。
「次は昨年の部長、宇月楓さんの作品です。モデルは、伊藤美弥さん」
 司会進行役の女の子が、アナウンスを入れた。
 すぅっと、深呼吸をして……美弥は一歩を踏み出す。
 最初の一歩は緊張のせいか慣れないハイヒールのせいか膝が遊んでいたが、二歩目には堂々たる足取りになった。
 見事なモデル歩き……とは言えないが、音楽と楓のナレーションをバックにドレスの綺麗さを観客に印象付けてから、退場する。
「笑うな、そこ」
 龍之介の顔を観察していた紘平は表情が緩んだ瞬間、すかさずそう言った。
 やっぱり美弥は可愛いなぁとにやけた龍之介は、そう言われると憮然とした表情になる。
「あ、笹沢さん」
 その声に、紘平はすぐさまステージへ顔を向けた。
「……人の事は言えないな」
 からかう口調で、秋葉が言う。
「やかまひぃ」
 憮然とした口調で、紘平は答えた。
 そうこうしているうちに曲が鳴り、瀬里奈が登場する。
「お〜。今まで以上に美人な……」
 締まりのない顔をしている紘平を見て、目を合わせた龍之介と秋葉はわざとらしく手を広げた。
 結局、紘平もいい勝負なのである。


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