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ふぉあしー
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ふぉあしーB〜黄昏に揺れる影〜-6

「咲姫先輩、最初はどこに行きます?」
「じゃあ、あれ!」

俺には見えないが、恐らく咲姫先輩が指差した先にはスペースシャトル、正確にはスペースシャトルの周りを縦横無尽に走っているジェットコースターがあるはずだ。
俺の下調べによると、落下あり、捻りあり、回転ありのアクロバティックかつエキセントリックな代物だったような…

「もしかして例のジェットコースターです…か?」
「そうだよ♪」
「あれはやめておきませんか?」
「え〜どうして〜?」

それはもちろん俺がジェットコースター嫌いだからだ。

「駆は昔からジェットコースターが恐いんですよ」

何言ってんだ、恵!

「俺はジェットコースターが恐いんじゃなくて、嫌いなんだ!」
「どう違うの?」
「形容詞の意味からして全然違うだろ!」
「って本人は言ってますけど、先輩はどう思いますか?」
「う〜ん、そうだなあ〜駆はジェットコースターのどこが嫌いなの〜?」
「それは目が見えないからいつ落ちるか、いつ曲がるかが分からないところですよ」
「いつ落ちるか、いつ曲がるかが分からないから恐いんじゃないの?」
「違う!!」

恵は俺が怖がっていることにこだわりやがる。
本当に違うんだ!
恐くなんか、恐くなんか…

「それなら全然問題ないよ♪」
「はい?何が問題ないんですか、咲姫先輩?」
「世の中には暗闇の中を走ってて、いつ落ちるか、いつ曲がるかが分からないジェットコースターがたくさんあるんだから」
「…………………」

全然問題じゃないですか!
俺はいつ落ちるかとかいつ曲がるかが分からないから恐いんじゃなくて、落ちたり、曲がったりするから恐いんだ!
あ、「恐い」って言ってしまった〜

「というわけで行こ?」

どういうわけですか!?

俺の心の叫びは当然咲姫先輩には届かず、なす術もなく引きずられていった。
きっと恵は俺の横でニヤニヤしているに違いない。

その後、抵抗できなかった俺は落とされ、捻られ、回転させられた。
しかも一度ではなく、三度も!
だが本当にぐったりしている俺を見て、二人それからジェットコースターに乗ろうとは言わなかった。
その後は三人でコーヒーカップに乗ったり、イルカショーを見たり、昼食をとったりとなかなか楽しい時間を過ごした。
しかしその楽しい時間が長くは続かないことを俺は知っていた。
刻一刻と時間がたつうちに暗い影は一歩一歩ゆっくりと、だが着実に近付いている。
そして西の空が朱に染まり始めた頃、『未来』が俺の脳裏を駆け抜けた。


紅天に響く無数の軽快音。
飛び散り、舞い踊る鮮血。
泣き叫び、逃げ惑う子供。
立ち尽くす血まみれの影。


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