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ふぉあしー
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ふぉあしーB〜黄昏に揺れる影〜-5

「駆〜好きだよ〜」

すぐに「大声でなんてこと言ってんですか!」と言おうとして振り返ったが、すごい速度で走り去る咲姫先輩の足音しか残っていなかった。

俺は咲姫先輩が走り去るのを“聞き”送りながら考えていた。

もし今朝のイルカとスペースシャトルが『スペースマリンランド』のことを示しているなら、あの銃声が示すのは…

いずれにしても俺は行かなければならない。
俺に止められるなら。
俺にしか止められないのなら。

“事”がいつ起こるかは気にする必要がない。
俺がそのテーマパークに行く予定の日曜日だ。
何故かって?
そんなことは決まってる。
それが『因果』だからだ。
俺がそのテーマパークに行くのも『因果』、そこで“事”が起こるのも『因果』。
しかし俺にはその『因果』の集まりから導き出される『未来』を『視』て、それを変える能力がある。
だから俺は今度の日曜に起こる“事”に干渉する!
“あの時”のような後悔を二度としないために…!



そして今に至る。
この日までの数日間に“事”に関する『未来』を再び『視る』ことはなかった。
できればこの日までに“事”に関することを具体的に掴んで、事前に手を打っておきたかったのだが、こればっかりは仕方がない。
故意に『視る』ことは…まあ、できなくもないが、するべきではないのは以前身をもって体験している。
絶対に見たくないものを『視』てしまったのだ。
この時『視た』ことがその後の俺の行動理由になっているのだが、そのことについてはおいおい話していくことになるだろう。
とりあえず今回の件に関してはそんな訳でほとんど手探り状態だ。
全てが後手後手に回って、手遅れになるのだけは避けなければ…
そんなことを考えているうちに入場口に並んでいる人の列は前に進み、俺達の順番が迫っていた。

「……る、駆ってば!」
「へ?」

右側から咲姫先輩が小声で俺に話しかけている。

「もう〜さっきからずっと呼んでるのに〜」
「すいません。ちょっと考え事してて…それでどうしたんですか?」

咲姫先輩に合わせてつい小声になってしまう俺。

「何で今日の事を恵ちゃんに話しちゃったの?」
「話したというか、無理矢理口を割られたというか…」
「まさか自白剤でも飲まされたの!?」
「そんなもの飲ませてません!だいたい一介の女子高生が自白剤なんて持ってるわけないじゃないですか!」

どうやら俺と咲姫先輩の会話を聞いていたらしく、恵が大声で弁解してきた。

「確かに自白剤は飲まされてませんが、もっとヒドイことを…」
「なになに?教えて〜」
「それはですね…」
「駆!」
「イエ、ナンデモアリマセン」

恵の一喝であの日された事を思い出し、トラウマが蘇ってきた。
俺はなんて情けないんだ…
そんなこんなでいつの間にか俺たちは『スペースマリンランド』への入場を完了していた。


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