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H.S.D
【学園物 恋愛小説】

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H.S.D*9*-3

「ぃよぉ〜し、実行委員!絵の具よぉーい!!」
いきなり樋口が指差す。あたしたちは「はいっ」と言って、来た時と同じように二人で片方ずつ持ちながら教室の真ん中まで運び、床に置いた。ついでにあたしはダンボールも床に叩きつけた。
「っしゃ、やんぞ!まず、型取りから…」
装飾のリーダー・樋口は椅子の上に立ちみんなに支持を送っている。どこから取り出したのか、手には巨大なメガホン。
樋口をあれだけ否定した矢上は、少し微笑みながらそんな光景を見ていた。
あたしは矢上の一番近い存在にはなれない。ならせめて、笑顔にさせてあげられる存在になりたい。
矢上の本当の笑顔を見れば、みんなだってきっと。
矢上には文化祭の終わった時も、卒業する時も、「楽しかった」って言ってもらいたい。
それが、あたしの実行委員としての仕事だと思った。


心の中でそう誓うと、あたしはダンボールに鉛筆で支持通りの線を書き始めた。


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