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ふたり
【幼馴染 恋愛小説】

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ふたり【新春】〜波乱を招く入学式!?〜-2

【入学式】
校門の前に立てられた大きな看板。
学校の敷地内には桜の並木が栄える。
新たな仲間が増えることに沸く生徒達。


「よう、ユキ。とうとうあかね、中学デビューだな。」
教室に入るなり裕也がからんでくる。

「…なんだよ、あかねのこと変な目で見んなよ。……つーか、ほっぺ触んのやめてくれるか」
「おっと」
裕也がパッと両手を上げる。

「でもな、……これは忠告。」
その手がガッチリ俺の両肩を掴む。顔は真剣だ。

「あかねを狙ってる野郎……いるぜ?……しかも、何人も。」
「…どういうことだよ」
「噂になってんだよ。アイドル顔負けの美少女…って。」
「マジかよ…」


この中学校は町に点在する3つの小学校の集合体だ。
そりゃあ、初めてあかねを見たら一目惚れしてしまうやつがいてもおかしくない。
だが、ウワサというのが厄介だ。尾ひれや背びれがつけば想像以上の事態になりかねない。


「守ってやれよ。お前しかいないんだからな。」

「…ああ。」



遊輝はこの嫌な予感が的中しそうな気がしてならなかった。



―……
『──それでは、新入生の入場です』

生徒が一気にザワつく。

『生徒は椅子に座ったまま中央を向いて、拍手で迎えて下さい』

割れんばかりの拍手。
指笛の音も聞こえる。

体育館後ろの大きめの扉が2人の若い教師によって開かれた。
遊輝は息を飲む。

担任の教師に先導されて新入生が入場してくる。
緊張がモロに顔に出ている子や、キョロキョロ周りを見回す子……なんとも微笑ましい光景。

ユキの在籍する2―1クラスと3―5クラスの間に敷かれたレッドカーペット。
そこを次々と新顔の生徒達が通っていく。
2クラス通ったが、未だあかねの姿はない。その頃には拍手の音も小さくなってきていた。

あかねを探しているのは遊輝だけではない。
多くの男子生徒が、ウワサの美少女はまだかと食い入るように新入生の列を見つめ、目を血走らせている者さえいる。


そして遊輝はこの時、自分が抱いた嫌な予感がまさに的中していることに気付いていなかった。


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