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これを愛だと言うのなら
【熟女/人妻 官能小説】

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これを愛だと言うのなら-2

「真奈美、今日の晩飯は少し多くしてくれ」
朝、ダイニングテーブルで新聞を広げていた泰明が徐に口を開いた。
キッチンで林檎を剥いていた真奈美は、ゆっくりと後ろを振り返った。
「誰かいらっしゃるの?」
会社で結構な位置にいる泰明だから、たまに部下を連れて晩ご飯をご馳走する事がある。
真奈美は今夜もそうだろうと踏んで、泰明に返事を返した。
「ああ」
何の変哲もない答え。彼との会話は大抵膨らまない。
真奈美は腹も立てずに、ではビールも多めに用意しますね、と呟いた。

真奈美は、トーストを食べながら新聞を読む泰明を見つめる。
時折、ページをめくる音とトーストを口に頬張る音が聞こえるだけ。
仕方なく、真奈美は透明なガラスの器に入った林檎を摘んだ。
しゃり……と四分の一に切った林檎を囓る。甘酸っぱい味と薫り。
何ら変わりのない毎日。

「行って来る」
いつの間にか新聞は椅子の上に畳まれていた。
泰明は背広に袖を通しながら玄関に消えていく。
真奈美は林檎を口に含んだまま、ダイニングテーブルに置き去りにされた気分だった。

「行ってらっしゃい」

声は真っ暗な玄関に吸い込まれて消えていく。
真奈美はこの世の全てから置いて行かれた様な、疎外感でいっぱいだった。

しゃり、しゃり…

林檎を囓る音が、響くだけだった―――。





「こんばんは、お邪魔します」
折り目正しい声が玄関から聞こえ、真奈美はパタパタとスリッパを鳴らしながら駆け寄った。
「大学時代の後輩だ。先月からうちで働く様になった」
簡潔明瞭に答えると、泰明は革靴を脱ぎ寝室へと消えていく。
「岸本 達郎(キシモト タツロウ)です。本当に今日は急にお邪魔して済みません」
真奈美はふと我にかえり、玄関でにこにこと笑う若者を見つめた。真奈美が思うに、達郎は普通の若者だ。
痩せ型で短髪にブルーのスーツ。20代であろう若々しいエネルギーに満ちている。
「いえ、何も無いですが、どうぞ上がって下さい」
そそくさとスリッパを出し、真奈美は笑顔で答えた。
「ありがとうございます」
そのお礼の言葉だけでも泰明とは全く違う。
真奈美は、これが普通なのかも、等と考えながら目許をほころばせる。
旦那とは違う達郎に、真奈美が好感を持った瞬間だった。


「美味しいですね。奥さん料理上手で羨ましいなぁ」
達郎の話は途切れる事が無い。
静まり返っていた食卓が久しぶりの賑わいだ。
大学時代の話。会社の話。経済の話。友達の話。
達郎は泰明に対してだけでは無く、真奈美にも気軽に話を振り場を盛り上げた。


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