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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第三章』-2

「四世って実力どーなのよ?」
宗宮がオレに聞いてきた。席は離れている。歩いてここまできたようだ。座ってろよ………。
「良くはないな。」
だいたい、バスケ部に見劣りしないわけがないだろう。
「脳ある鷹は爪を隠すと言う。君もその類いなんだろう?」
こいつは『トラブルメーカー』須賀。こいつの周りではなんか不幸な事が起こるらしい。
「鷹じゃないんでな。………スズメとかそんなんだ。」
須賀はアッハッハッとか言って笑った。
「まぁ、今日わかる事だな。」
「……そういうこったな。」
「はいみんなシャーラァップ。」
辰馬がパンと手を叩いた。
「じゃあ試合に向かおう。トーナメントだから、同じクラスで当たるかもしれない。だが手加減は無用だ。みんな、夏休み前の最後の催し、燃え尽きてこい。」





一回戦は、五組Bと三組Cだ。五組Aは三試合目だ。
「こんなんまじめにやる辰馬はすげぇな。オレは手ぇ抜かせてもらうぜ。」
オレは二階席で、すでに始まっている試合を観戦している。
この学校の体育館は、広い。普通の想像できる体育館を、三倍から四倍に拡大して想像してもらいたい。そんな体育館に、二階席まである。金の力はすごい。
女子のバレーは奥でやっている。
「僕も結構やる気満々だけど?」
千里が隣りで言った。
「そうだな。あのエースアタッカー様にいいとこ見せられるもんな。」
千里は顔が真っ赤になった。
あのエースアタッカー、一年らしい。確か……一組だったか?
「よう。試合はどうだい。」
宗宮が女を二、三人連れて歩いてきた。こいつ、かなりモテるらしい。
「まだ前半だな。負けてる。五点差ついてるぞ。」
前後半合計で二十分。結構ハードだ。
「まぁんなもんだろ。なんせBチームはろくなやついなかったからな。Aには須賀に作山がいる。」
宗宮はペットボトルの水を一口飲んだ。
「ま、幾間のスピードで掻き乱して、須賀のスリー、作山とオレが中、四世がパス回せば、決勝までは余裕で行けるさ。中野の身長も使えるしな。」
ほう、こいつ…もう作戦考えてやがる。千里同様、こいつもやる気満々か?
「なんでオレがパス回しなんだ?」
オレは一応聞いてみた。宗宮は、しれっと言った。
「余った。」
こいつ…殺す。





五組Bはあっさり負けた。二試合目も終わり、オレ達の出番だ。
相手は四組Aチームだ。二階席に浜崎さんがいた。
「おい、四世弟、テンションはあがってっか…?」
「やる気は無いぞ。交代は早めにな。」
『ピーーー』
始まった。





試合は圧倒的だった。
千里は低い身長を活かした低いドリブルでディフェンスを躱す。
作山は、流石バスケ部と言ったところか。外さない確実なシュートで得点を重ねる。
宗宮は本当にすごかった。ダンクにダブルクラッチ、アリウープまで披露した。黄色い声援が止まらなかった。
須賀には鳥肌が立った。綺麗なスリーポイントシュート。一種の芸術を見ているようだった。
中野は180の身長を活かし、パスからシュートまでこなした。


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