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H.S.D
【学園物 恋愛小説】

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H.S.D*5*-3

「計画書通ったんですよね?これから、みんなで話し合っていろいろ決めててくれないかな?」
「えっ、今から?」
先生はこくんと頷いた。
「私は職員室にいるから、終わったら声掛けてね」
唖然とするあたしを余所に、文子先生はなぜかスキップしながら嬉しそうに教室を出ていった。
矢上と残されるあたし。
チラッと矢上を見ると仕方ないねと笑っていた。
全く…。早く話し合いして、早く帰ろう。
「静かにしてくださぁい!」
大きな声を出したのに、あたしの声はこの騒がしい空間に吸い込まれた。聞こえていないのか、誰も静かにしようという気配はない。
「静かにしてっ!!文化祭のことなのっ!!」
さっきよりも声を張り上げた。一瞬静かになったが、またすぐにうるさくなった。何人かはチラリとこちらを見たが、またすぐに話しだしてしまう。
聞こえていない訳がない。みんな、自分に関係無いと思っているんだ。
このまま勝手に説明して、勝手に決めて、自己満足で終わることは出来る。だけど、あたしはそんなのイヤだ。
みんなで頑張りたい。みんなで作り上げたい。みんなで成功させたい。みんなから笑顔で「いい思い出になった」と言ってもらいたい。
関係無い人なんて、誰もいない。だから、あたしたちの話を聞いてほしい。
「ねぇ、聞いてよ…」
好美が慌てた様子で、何人かに声を掛けておとなしくさせていた。反対側では、樋口が唇に人差し指を当てていた。
その小さな心遣いがすごく嬉しかった。でも、今聞こうとしているのは極僅か。全員が参加していなければ、意味が無い。
「ねぇ、お願いだよ。聞いてってば…!」
やはりあたしの声は聞こえないらしい。
あたしは文化祭を成功させるとみんなに誓った。みんなが一生懸命取り組んで、みんなが「やってやった」と笑い合った時が本当の成功だと思っていた。だけど、クラスが一つになるなんて無理なんだろうか。
そんなことを思い、あたしが俯いたその時だった。


「テメェら話を聞けぇっ!!」


あの矢上が…いつも冷めている矢上が…怒鳴った。


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