投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

〜グラドルAの受難〜
【アイドル/芸能人 官能小説】

〜グラドルAの受難〜の最初へ 〜グラドルAの受難〜 1 〜グラドルAの受難〜 3 〜グラドルAの受難〜の最後へ

〜グラドルAの受難〜-2

最初向田がヌード撮影の話を持ってきたとき、ルキアは激しく抵抗した。
「嫌よ。それだけは絶対イヤ」
プロ意識が高く仕事の選り好みなど絶対にしない彼女が、これほど強硬だったのは初めてのことだ。
理由は容易に想像できる。ルキアとてグラビアではカメラマンのどんな過激な要求にも応える用意はある。ましてや事務所を背負って立つ自覚もあった。
しかし『生身を晒す』というのは、なまなかな覚悟でできることではない。もちろんモラルや羞恥心の問題もある。
それ以上に危険なのはタレントにとって必要なミステリアス、謎の部分を全て暴いてしまうことだ。
確かに一時的に話題を呼ぶことにはなるだろう。しかし長い目でみればそれは果たして得策だろうか。多くの場合、タレントとしての商品価値を貶める結果が待っている。
「これはチャンスなんだよ。そう思うことはできないのか」
渋るルキアを向田は必死に説得した。
地道にグラビアモデルの仕事を続けるのも限界が来ていた。気がつけば彼女も年齢的にもキャリア的にもベテランの域に達していた。
今でも十分魅力的なルキアだがファンはえてしてわがままだ。いずれは飽きてしまう。彼らはその代用品に事欠かない。若く扇情的なからだをもつ女の子たちが無防備な肌を次々にさらしていくからだ。
彼女たちは消耗品に過ぎない。そこからは美しいルキアとて逃れることはできないのだ。
向田は土下座せんばかりの勢いで頭を下げ続けた。
「頼む。皆のいるこの場所を守ってくれ。」
それまでも事務所の窮状を聞いていたルキアの、アイドルとしての矜持もその一言で折れた。
なによりまだ若く、男の涙を見慣れていない彼女にとってはそれで十分だった。

釈然としないルキアをよそに、向田はヌード撮影の件で精力的に動き回っている。
まだ先の話と高をくくっていたルキアだったが、着々とスケジュールが埋まっていくにつれて不安を募らせていく。
あまりの段取りの良さに騙された気もしたが、それを口にすることはできない。向田も必死なのだ。
当初イメージビデオのようなものを想像していたのだが、内容をきいてさすがに蒼くなった。
販売元の出版社の要望でヘアヌードの運びとなったのだ。
抗議した。しかし日付はもちろん、カメラマンからスタジオまで押さえた今になってのキャンセルは事実上不可能だった。
向田は冷徹な経営者としての顔でルキアにそう告げた。

当日。ルキアは指定の時間より少し早めにスタジオ入りした。緊張して寝つけなかったのだ。
睡眠不足が顔に出ないよう入念にメイクした。グラビア時代からの習慣では当日食事は取らないのだが、体力的なことを考えて軽くつまんだ。
すでに衣装に着替えており、上に薄手のバスローブを羽織っていた。緊張が解けないせいか、喉がひりつくようだ。
「しっかりね、ルキア。あなたならできる」
自分を奮い立たせる呪文も心なしか元気がなかった。
「なにも、こんな日に……」
いつもは必ず現場に立ち会う向田がいない。急な商談が入ったとのことだ。
不安にかられたルキアは携帯を鳴らした。電源を切っているらしく通じない。
「阪上さん。そろそろお願いします」
撮影のスタッフが呼びに来た。ルキアは向田宛にメールをうつと現場に入った。
ルキアのよく知る風景のはずだった。グラビアで場数を踏んでいる彼女にも独特の緊張感が伝わった。
男が向かってくる。
ルキアは向い直って、深くお辞儀をした。
男は志崎と名乗った。撮影スタッフのまとめ役のようなことをしているらしい。
志崎が指差す方向にその男がいた。
嶋村憲明。新進気鋭のカメラマンだ。過激な作品を生み出すことでも知られている。確かそれに伴う逮捕歴もあったはずだ。
最近はタレントとしてもテレビに登場するようになり、その毒舌とシニカルな表現で人気を博していた。
女性スタッフと談笑中の嶋村のもとへ、志崎に促されルキアはともなわれていった。
「先生。こちらが……」
「何やってんだよ。言ったことできてねーじゃんか」
嶋村はルキアの紹介を無視し怒鳴り散らした。威圧的なしゃべり方をする男だった。
ルキアは所在投げにその場に立っていた。嶋村にはテレビで見せる気配りや愛想は期待できない様子だ。
ようやく彼女の存在が目に入ったとでもいいたいのか、黒眼鏡を鼻の上に落とし覗き込んできた。
「気が乗らないなあ……」
嶋村の煙草臭い息がふりかかる。嫌悪の表情をできるだけ出さないようルキアは気をつけた。
「きみみたいなバタクサイのは、もう撮り飽きてんだよな」
ルキアがそう言われるのは実は最初ではない。たいへんはっきりとした顔立ちの彼女はしばしばハーフと間違われる。
「先生みたいな方に撮っていただけるなんて光栄です」
あくまで社交辞令で返したルキアだったが、内心は動揺していた。
売り込んできたのはこちらの方だと暗に示されたような気がした。もしそうなら今日の撮影はきついものになる。
撮影前だというのにルキアの気持ちは暗く沈んだ。
「ふん。言うじゃないか」
冷たい一瞥を送ると、嶋村が離れていく。
照明が照らされ、女性のヘアメイクが駆け寄ってきた。


〜グラドルAの受難〜の最初へ 〜グラドルAの受難〜 1 〜グラドルAの受難〜 3 〜グラドルAの受難〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前