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clumsy
【学園物 官能小説】

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clumsy-5

「あッ…たッ…いがぁッ」
「…槙…」
「お…願いッ目隠し…取ってぇッ…」
槙は泰牙への気持ちに気付いた。
でも泰牙は他の人のもの。
それなら…せめてこの時だけは、泰牙の形を、泰牙の顔を自分に刻みつけたい。
「ッ」
視界が光を取り戻す。
「泰牙…」
未だぼやける視界に、泰牙の姿があった。
急に明るくなった景色に目が対応していないからぼやけているのか、涙で前が見えないのか…槙にはわからなかった。
「槙…」
どちらともなくキスを交わす。
泰牙は槙の涙を舐めとり、また腰を動かし始めた。
「ッん…あっ」
「槙…ッ」
「泰ッ牙ぁッ」
卑猥な水と肉同時がぶつかる音。
飛びそうな意識。
流れる涙。
槙は泰牙の腕に手を絡ませながら言った。
「ッ好ッき…ぃ」
絶頂が近いのだろう。息も荒く、微かに痙攣している。
「え…」
「あっ泰…牙ぁッ…好きなのぉッ…あぁッ…!!」
槙は意識を手放した。
―…
「…ん…ッ」
槙が意識を取り戻すと、外は既に真っ暗だった。
「泰…牙…」
教室の中には泰牙の姿はなく、あるのは静寂だけだった。
「…呆れられたかな…」
手首はまだ熱を持ち、先程の行為を思い出させる。
腰には甘い痛み。
きっと泰牙とは以前のような関係に戻れないだろうと、溜め息をついた。
“悲しくなんかない。”自分にそう言い聞かせて。
気付くのが遅かった。遅すぎた。
「〜〜ッ」
自分だけに見せるあの表情。
ムカつくと思いながらもうれしかった。
泰牙にはそれは“特別”な扱いではなかったかもしれないけど。
自分に向けられる泰牙の全てが全て嬉しかった。
でも…
心にもない事を言って怒らせて挙げ句の果てにヤられてしまった…。
「これで忘れろって事なのかな…」
神様がくれた、最後の優しさ。
ふっきるためのエッチだったのかもしれない。

どうしようもない気持ちを抑えきれず、それに比例して涙も零れた。
鼻を啜りながら、教室を後にした。
―ドンっ
「わッ!?」
ドアを開けると、何かに躓いた。
「な…に?!」
目を凝らして見ると、そこにはいるはずのない人がいる。
「た…いが…。な…にしてんの?」
泰牙は顔を上げない。
「ごめん…俺…」
「あ-…うん。古賀さんには黙っておくから。」
「違う…!!古賀は…関係ない。」
「え…関係なくはないでしょうよ…」
だって彼女だし…と槙は続けた。“彼女”と言った途端、また涙腺が緩む。
(彼女…か…)
「古賀は俺の彼女じゃない。」
「…ほぇ?」
空耳…ではない。泰牙は確かに彼女ではないと言った。


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