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clumsy
【学園物 官能小説】

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clumsy-2

長い指でキャップを回し、グイッとお茶を飲む。
槙は泰牙をじっと見ていた事に気付き、恥ずかしくなって机上に目を移した。
「…クッキー?」
ペットボトルを開ける時に置かれた包みからは、ハート型のクッキーが見えた。
「調理実習で作ったんだと。」
「ふ-ん」
ピンク色の包み、綺麗な焼き目のハートクッキー…きっと渡した子はコイツの事を思って作ったんだろうな。
「何だよ、お前。欲しいのか?」
「や、違くて。健気な女の子だなぁ〜って」
「はぁ?」
「クッキーとか作ってさ、あげるとか…乙女だなって思ってさ。」
「…ふ-ん。お前ヤキモチか。」
「はッ?!」
「んだよ。お前が作って来ても貰ってやるって。」
「意味ワカラナイヨ」
「ご馳走さん。」
「ってお前!!全部飲みやがったな!!弁償しろ、俺様!!」
槙の叫びも虚しく、泰牙は槙から遠ざかって行った。
「…間接ちゅーですな、槙さん。」
泰牙の座っていた席にユリが腰を落とす。
「それが何か?」
「んふふ。青春ね。」
ユリはイチゴのチョコをくれた。
甘酸っぱいイチゴのチョコ。
「甘…」
顔がちょっとだけ赤いのは、イチゴのチョコを食べたから。
―放課後…
「じゃね、槙。頑張って」
「おうよ、デート楽しんできてね。」
ユリはありがと-っと言い、足取り軽く教室を出て行った。
「さ、ちゃっちゃと終わらせよ-っと。」
槙は英語のプリントを出す。
「範囲間違えなかったらなぁ〜」
英語には自信があった槙だが、たまたまテスト範囲を間違え、悲惨な点数をとってしまった。
i-podから流れる洋楽にリズムを取りながら、無心にペンを走らせる。
丁度槙のお気に入りの曲が終わった時だった。
「…よし!!」
槙は気持ち良く最後の単語を書き終えた。
真剣にやったおかげで、思ったより早く終わらす事が出来た。
「さ、提出!!提出〜!!」
足取り軽く、槙は先生の元へ急ぐ。
―…
「失礼しました-。」
勢い良くお辞儀をして、職員室を出た。
「さ-て、帰ろ-っと。」
清々しい気分で教室に戻ると、
「あ…」
何やら教室の中から話し声が聞こえた。
(誰…?)
隙間から目を凝らして見る。
(泰牙…と、古賀さんだ!!)
古賀さんは隣のクラスでとっても可愛い人。
(あぁ、そうなんだ…)
教室に2人っきり。この状況からして、付き合っているとしか考えられなかった。
(付き合ってんだ…)
教室から零れる笑い声。
(いつから…なんだろう…)
別にあんな奴どうでもいい。ショックうけてるはずなんかない。
けど…
嫌だった…。
何だかわからないけれど、胸が痛い。


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