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女子大生妙子の就活日記〜島で見つけたモノ〜
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女子大生妙子の就活日記〜島で見つけたモノ〜-3

波音しか聞こえない。
誰もいない海。
釣れるはずないと思ってたのに、小さなフグが針にかかった。
小さなバケツにそれを入れ女将さんに自慢しに行った。
さすがに食べられないので民宿の水槽で飼ってもらうことにした。
名前はハチベェ。

一つ気がかりなのは女将さん今日は顔色が悪い。
疲れがたまっているのだろうか、心配になる。
私のつまらぬことに付き合わせてしまい申し訳なく思った。

そして明日はもう帰る日。
島の一日は思った以上早く過ぎていった。
少し淋しいなぁ。

夜、花火をやろうと民宿の子供を誘って玄関に出る。
色とりどりの花火が咲いては消えていった。

私が好きなのは線香花火。
この切なさがたまらない。恋もきっとこんなものなのねと苦笑してみた。

花火を堪能して眠りにつく。
その前にハチベェにおやすみと言って水槽を眺めた。気持ち良さそうに泳いでいる。

朝、目が醒めるとノックがした。
旦那さんが困った顔をしながら入ってきた。

二つめの緊急事態発生だ。
女将さんが入院することになったという。
朝から気分が沈んだが、そうも言っていられない状況になった。

今日は私の他にも4組お客さんが入っていて、
人の良さそうな私に女将さんの代わりに仕事の手伝いをしてくれないか頼みに来たのだった。

二つ返事で了承。

なぜならこういう展開が昔から好きだった。
エプロンを借りて厨房に入る。
散らかった食器を洗い、旦那さんに盛り付けの仕方を教えてもらいながら朝飯の支度を手伝った。
高校から続けている弓道サークルでも、
逆境に強い女と呼ばれていた。
逆境かぁ。

不謹慎だけど………

ワクワクしてきた。

忘れていた感情が甦った。
なんとか朝飯の準備を終えたかと思うと次は各部屋の片付け。
思った以上に布団の収納は神経も使う力仕事だった。
それから、旦那さんと昼食の買い出しに行く。
出かける前、玄関の水槽ではハチベェが元気に泳いでいた。

行ってきます。ハチベェ。
元気よくドアを閉める。
初めて行く漁港は活気があり、少し魚臭かったが好きになった。
鰈と鰯と蝦と貝を買う。
冷凍魚しか知らない私には驚きと興奮の市場だった。
昼食、そして夕飯の支度が終わると重大なことに気付いた。
今日帰るはずだったことと乗るはずだった一日一本の定期船の時刻も当に過ぎていたこと。

一生の不覚!と思いきや

出たトコ勝負だと開き直った。


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