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バトンタッチ。
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バトンタッチ。-4

季節は12月へ突入する頃、大分三人の距離も近くなり、ヒポというおれのあだ名も定着してしまった。 

よく授業が終わってからコンビニに行き、教室で食事した。 

たくさん笑い合った。 
楽しかった。 

そんな関係が一変してしまったのはその月も半ばに差し掛かる寒い夜だった。

田和がいくら待っても来なかった。 
家に電話しても誰も出ない。 

心配になり、授業が終わってから田和の家へ車を走らせた。 

チャイムを鳴らすと田和のおばぁちゃんが出てきてくれ、田和がいる二階へと案内してくれた。 

ドアを恐る恐る開けてみた。 
真っ暗な部屋。 
ベットでポツンとうずくまる田和。 

「田和。どうしたんだ?
心配できちゃったよ。」 
田和は何も返さなかった。 

灯りはつけず隅に座り、おれも黙った。 

暗闇の中で沈黙が続く。 

何十分経ってからだろうか、田和が重い口をようやく開いた。

「今日ガッコーで三者面談したんだけど……
志望校は受からないからやめろって言われた。」 

声が震えている。 

最近あったテストの点は325点。 
田和が志望校としている青諒高校はこの地域ではトップクラス。 
400点ないとまず受からない。

だから担任も教科担当の先生もだめだと言ったのだろう。 

彼が落ち込む理由はそれだけではなかった。 

母親も息子の見込みゼロ宣言をされた上、人間性まで否定されたという。 

あんな不良がいい高校になんか行けるはずがない。
お似合いの高校がもっと下にゴロゴロ転がっているでしょうと。 

田和のお母さんはあまり体が丈夫ではない。 
あまりのショックで倒れてしまった。 

「なぁヒポ…。おれはどうしたらいい?
できることなら、ガッコーのあいつらを見返してやりたいよ。」

泣きそうな声で田和はつぶやく。 

おれはしばらく考えてから答えた。 

「田和。1日じっくり考えてごらん。
それでおまえに少しでも迷いがあるのならランクは下げたほうがいい。
それでもどうしても行きたかったら、おれも全力で応援するから!」 

敢えて一人で考えさせる時間を与えた。 
それは彼自身の決意を見たかったから。 
大人からの押しつけなど何の意味もないから。 

「明日待っているからな。」
おれは田和の頭をやさしくポンポンと触れてから、家を後にした。

12月の夜風が冷たかった。胸がズキンとした。 

痛みも共有していきたい。楽しいことだけじゃなくて。

次の日、田和がやってきたのは丁度夕方の5時だった。


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