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《魔王のウツワ》
【コメディ 恋愛小説】

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《魔王のウツワ・6》-6

「ほらほら、見とれてんな若人よ♪ほら、澪ちゃんも座って」

親はすでに座ってフォークを持っている。

「ほら、何、ボケッとしてんの!食べるよ」
「あ、ああ…」

俺が座ったのを見計らい…

「いただきま〜す♪」

脳天気なネジの吹っ飛んだ親はがつがつと多分…カルボナーラを平らげていく。

「これ、鬱輪さんが作ったんですか?」
「あ、ああ…味は保証出来んが…」
「い、いただきます…」

姫野はフォークを持ち、クルクルと巻き付け、そして…口に運ぶ。

「………」

モグモグと姫野の小さな口が動く。

───ゴクッ…

思わず唾を飲む…
緊張の一瞬…

「ど、どうだ…?…食べれるか?」
「はい、すごく美味しいです♪」

はぁ…と安堵の溜め息が零れる。良かった…

「いただきます…」

俺も食おう…
その前に姫野の顔を再度確認する。
前々から可愛いとは思っていたが…まさか…こんな…

※※※

「ごちそうさま♪」
「ごちそうさまでした…」
「ごちそうさま」

夕食後の気の休まる時間…のはずなのだが、どうしても視線は姫野へと向かう。
俺も落ち着かないし、姫野も落ち着かないみたいだ。
ああ、こんな時こそ母親の脳天気遺伝子が羨ましい。

「な、なあ…姫野…」

思い切って声を掛けてみた。変に喉が渇く。

「は、はい…何ですか?」
「その…前髪は…昔からなのか?」
「はい…あの時から…」

あの時とは多分、事件のことなのだろう…

「やっぱり…人の視線はダメなのか?」
「い、いえ…昔は辛かったんですけど…今はそんなに…前みたいに大勢に取り囲まれる以外なら…大丈夫です。
この髪はなかなか…切る機会が分からなくて…少し…怖いのもありますけど…」
「そう…なのか…」

カチカチと時計の音が耳につく。時刻は7時半少し前…

「姫野の両親はいつも遅いのか?」
「はい…いつもは、大体10時過ぎにならないと帰って来ないんです…」
「そうか…」
「鬱輪さんのお父さんは…」
「俺は会ったこと無い」
「す、すみません…私…知らなくて…」

姫野の顔が暗くなった。

「あ、いや、気にすんな。別にいなくともアイツがいたから」

チラッと奥の部屋に視線を投げ掛ける。仕事用の戦闘服に着替えているのだろう、部屋からはゴソゴソと音がしている。


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