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《魔王のウツワ》
【コメディ 恋愛小説】

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《魔王のウツワ・6》-1

今日はいい天気だ。
風は爽やかに、陽射は穏やかに、俺の周りを彩る。

その中でノワールはのんびりと俺の膝で昼寝を楽しみ、七之丞はいつもと変わらず一人で喋っている。もうアレは独り言として定義してもいいだろう。

姫野はその長い髪を風の中で揺らしながら文庫本に目を走らせている。

こんな風景が何時までも続いて欲しいと願ったりもする昼下がり…

平和そのものの中で、段々と瞼が重くなってくる…

※※※

「………」

姫野が文庫本から視線を外したのは数分前。
今、その瞳には壁にもたれながら眠りの世界にいる鬱輪の姿が写っている。

「…ええな…ノワールは…鬱輪さんにあんなに寄り添って…ああ…ホンマにノワールが羨ましいわァ♪」
「──!?こ、神足さん!!」
「にゃはは♪当たりやろ♪」

いつの間にか、姫野の背後で幽霊の様に七之丞が呟いた。

「ヒメ、ちょいとええか?」
「何ですか?」

七之丞は姫野を屋上の隅へと連れ出した。

※※※

「…う、鬱輪さん…」
「う、う〜ん…」

眠い目を開けた。頭にとり憑く睡魔を引き剥がし、顔を上げる。
視線の先には姫野がいて、何故か顔が紅かった。

「ひ、姫野…」

そして結構な近距離だった為、こちらも思わず顔が紅潮する…

「あ、あの…もうすぐ鐘が鳴ります…」

ああ、起こしてくれたのか。

「あ、ありがとう…」
「いえ…これくらい…」
「………」
「………」

──キーンコーン…

沈黙を破り、鐘が鳴る。

「わ、私…もう行きます…」
「あ、ああ…また明日」

足早に立ち去る姫野を見送り、自分も帰ろうとした時…

バシッ…

背中に衝撃が走る。

「何だ七之丞」

その背後には、七之丞が立っていた。いつものニヤニヤ笑いで。

「この果報もん」
「はぁ!?」

それだけ言って、七之丞も帰っていった。

「…何なんだ?」

さっぱり意味が分からん…
まあいい…七之丞がよく分からんのはいつものことだし、早く帰らないと授業が始まる。

「じゃあな、ノワール。姫野が迎えに来るまで大人しくしてろよ」
「ナァ!」

屋上の扉を閉めた。
また明日。


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