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《魔王のウツワ》
【コメディ 恋愛小説】

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《魔王のウツワ・5》-5

「すまない…嫌だったか?」
「いえ違います…嬉しいです!すごく…すごく嬉しいです♪ありがとうございます、鬱輪さん♪私…大切にします」

姫野は本当に嬉しそうに笑った。
良かった…この表情が見れるなら…買って良かった…

「つけてみても…いいですか?」
「ああ…」

そういうと、姫野は髪止めを取りだし、耳の少し上に着けた。
黒髪に小さな花が咲いた。

「ど、どうでしょうか…?」
「すごく…似合ってる」

思わず見とれてしまった。華美ではないが、いつもの姫野とは違って、何か変わって見える…

「私…男の人から…プレゼントなんてしてもらったの初めて…」

姫野は赤くなりながら、独り言の様に呟いた。
その言葉を最後に二人とも黙ってしまった。何とも形容し難い空気が辺りを支配する…

「ヒメ!鬱輪!来とるかァ?」

そんな雰囲気をぶち壊す様に扉が開き、バカ登場…

「およ?ヒメ、ええもん着けとるやないか♪何や、それが噂の魔王の贈り物かいな?ヒメ、可愛いで♪」
「あ、ありがとうございます…」

可愛いと真正面から言われ、姫野は恥ずかしそうに目を伏せた。

「鬱輪、自分なかなかやるな♪」

馴々しく肩を組んだ七之丞がこっそりと姫野に聞こえない様に言った。

「告白まで秒読み開始か?」

ニヤニヤと…いや、最早ニタニタと、さも面白そうに笑っている。

「黙れ」

バカの額に裏拳一発。
どうして、同じ笑顔なのに姫野のは癒しを、七之丞のは不快感を与えるのだろうか…

「あ、あの…ご飯…食べませんか?」

その様子を見ていた姫野がおずおずと言った。

「すまない、食べよう」

バカを振り払い、食事の準備を始める。
風に姫野の黒髪が靡く。さらさらと揺れる髪の中に一点、俺が贈った花が太陽を受け、きらめく。

暖かな陽射と笑み…

今日も…いい日だ…


続く…


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