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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈封縛篇〉前編-8

「セーラさん。」

セーラよりも若い彼女は安心したように表情が柔らかくなった。それを確認したセーラは微笑み、再び質問された先を見る。

「外の風が止んでいるのをご存じですか?」

突然の問いかけに民達は驚きを隠せなかった。しかし少しずつ、そういえば、確かに、と認識するような声が上がり始める。

「風を止めたのは風神様。しかし、その為にリュナ様は衰弱しきって倒れ意識が戻られておりません。」

それほどまでに自然を操るという事は危険な行為であるということをセーラは伝える。そして、カルサもまた嵐を静めようとしたが断念したことも伝えた。



「力を使えばそれ相応の反作用が身体に返ってくると聞きます。」

いまだ目覚めない風神を目の当りにしているセーラにとっては、反作用の恐ろしさが痛いほど分かる。心中に隠していてもにじみ出ていた。

やがて部屋の外が騒がしくなり、新たな避難民の到着が知らされる。開かれた扉からは疲労の色が隠せない民達を軍人達が誘導してくるのが見えた。

皆ずぶ濡れで外の嵐のひどさが一目で分かる。足元がおぼつかない人が何人かいる、よく見ると服は汚れている人が多い。その理由を問う前に、一人の軍人が目の合った女官に話しかけながら近寄ってきた。

「セーラ!」

「ナタルさん。」

その人物こそ、カルサに一番始めに任務を言い渡された軍人ナタル・ウーリ。全身ずぶ濡れで、泥が付きよく見ると所々に怪我をしていた。

「タオルや毛布を民達に配ってくれ。軍人たちはすぐに出るから気にしなくていい。陛下はどちらに?」

「サルス様のもとに向かわれました。おそらく王座の間かと思われますが。」

「分かった、ありがとう。」

簡単な指示を周りの軍人にして、ナタルは走り去っていく。急に忙しくなった部屋に緊張が走った。

大怪我をしている者もいる、女官達は急いで救護場所を設け避難所は一種の戦場と化した。

なぜ、このような怪我をするものがでてくるのか。外は一体どうなっているのか。考えが頭の中をめぐるが、民も女官も動けるものは負傷者の手当てをし始めた。

いつのまにか軍人達は再び嵐の中へ戻る為に準備をし始めていた。





さっきよりも雨が強くなって、城の中に居ても雨の音が聞こえるくらい。

セーラの予想どおりカルサは王座の間にサルスを従えていた。高貴な衣裳をまとっていなくても王座にいるだけでカルサには他人に与える威圧感がある。

次々とくる人物に対応していく、カルサの決断にサルスがフォローして無駄なく事が運ぶ。

「ナタル、ご苦労だった。どうだ?」

全てを対応し、目の前で頭を下げ順番を待つナタルにカルサは自分から話かけた。ナタルは大きな声で返事をし数歩近づく。顔を上げて報告をし始めた。


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