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H.S.D
【学園物 恋愛小説】

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H.S.D*0*-3

雅博が全体を見てから口を開いた。
「では、席替えも終わったことだし文化祭の実行委員を決めまーす」
そんなめんどくさいこと、誰がするか。
「男女一名ずつだそうです。まず男子から、立候補誰かいる?」
シーンと静まり返る教室。雅博は「はぁ…」とため息を付き
「じゃあ推薦は?」
と眼鏡を掛け直した。こういう自分に関係ないことに関しては、すぐさま手が上がる。
「岡田」
「矢上でいんじゃねーの?寝てるし」
岡田がそう言った瞬間、矢上に視線が集まった。
「だそうですけど…矢上君どうですか?」
寝ている矢上に雅博が問い掛ける。
暫し沈黙。
矢上は本気で爆睡しているらしく、ピクリとも動かない。
「何も言わないので、矢上に任せまぁす」
それでいいのかよ。
何も知らない間に自分が実行委員になっているなんて、不覚にも矢上に少し同情してしまった。
しかし、そんなことを気にしている余裕などないことに気付かされる。実行委員は男女一名。男子は瑞樹君で決定、じゃあ女子は?という問題にブチ当たる。
雅博の「立候補は?」にも「じゃあ推薦は?」という問いにも、誰も何も言わない。もちろんあたしも、みんながどれだけ矢上にひどいことされたか知ってるから「天野、誰か推薦する?」と聞かれても「考え中…」としか答えられなかった。
「困ったな…」
雅博が眉をしかめた。
「こうなったら選挙だな。今から紙配るから、それに名前書いて」
鮎子が小さく切られた紙を全員に配った。あたしは申し訳ないけど一番被害の少ない好美の名前を書いて、教卓に乗っている箱の中に投票した。
全員のその作業を見届けると、雅博が「開票します」と言い、箱の中から二つに折られた紙を取り出した。
あたしはギュッと目を瞑り手を合わせ、困ったときの神頼みってヤツをし始めた。
…そして冒頭に戻る、という訳だ。


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