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一次関数
【青春 恋愛小説】

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一次関数-1

一次関数……

Xの値に対してYの値がただ一つだけ決まる


それは、親友である拓也が俺にメル友を紹介してきたことに始まる。

その子は、彼の彼女である高崎さんの友達で、女子校の子だった。
男の人が苦手で、それを心配した高崎さんからのお願いらしい。

正直、メル友とかいうのは苦手だが、人助けと言われると、断りづらい。

そして、拓也が俺を心配して言ってくれているということも理解できた。


俺の母親は、俺が高校3年のときに再婚した。

俺は、母親が再婚したのは、俺の将来のためを思ってのことだと考えていたいのだと思う。
つまり、そこに恋愛感情があって欲しくないのである。
そして、そんなことから俺は、恋愛に対して一種の嫌悪感のようなものを抱くようになったのだろう。

しかし、こんなに冷静に自己分析できているということは、そんなに深刻なことではないということの現れであるような気もする。
単に、自分の悲劇に陶酔しているだけなのかもしれない。

とにかく、俺の恋愛に対する姿勢はどこか覚めていた。


拓也はそんな俺を心配してくれていた。
だからこそ、俺がその話を引き受けるのは当然だと思えた。


俺と彼女とのメールはそうやって始まった。

その日から俺と彼女は毎日メールをしていたが、送ってくるのはいつも彼女からだった。
俺に送る内容については、毎日高崎さんに相談していると、拓也から聞いたことがある。

俺は、彼女からの質問に答える。
そして、そのことに対して彼女はどうなのかを聞き返す。
興味があって聞き返すというよりは、礼儀として行っているという感覚だった。自分から新たな話題にもっていくということは一度も無かった。
まして、好みのタイプとかいう恋愛系な話題は一度も出なかった。


俺の中で何かが変わったのは、初めてメールした日からちょうど2週間が過ぎた日からである。

彼女から電話が掛かってきたのである。

時間は9時ジャスト。

内容的には至って普通だった。

まず彼女は、高崎さんに電話を掛けてみろということを、しつこく言われたと力説した。

何度も沈黙があった。

かと思えば、彼女は話し出すと止まらなくなり、自分自身がパニックになって……ということも何度かあった。

俺は相変わらず必要以上に話すことは無かった。


でも、電話は切りたくなかった。


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