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マニア雑誌で見つけた素敵な人々
【歴史物 官能小説】

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【1】45歳男・37歳女-1

【『紳士淑女さあくる』昭和XX年初夏号「紳士淑女編集部訪問記」より。A男(四十五歳)、B代(三十七歳)】

編集部:それでは弊誌編集部をお訪ね頂きましたお二人に色々お伺いしていきたいと存じます。今日は〇〇県からわざわざ有難うございます。編集部からほど近いとある旅館の一室に陣取りましてね、様々インタビューしていきたいと思います。よろしくお願いします。
A男・B代:よろしくお願いします。
編集部:今日はこちらも随分と暖かくなりましてね。〇〇の辺りはもうすっかり桜も満開ですかね?
A男:散り初めというところでしたね。
編集部:春は色々とお忙しいのでしょう?
A男:ぼちぼちです。…ねえ?
B代:そうですわね(笑)。
編集部:見つめ合うご様子が仲睦まじくて大変結構ですね(笑)。てっきりご夫婦かと思いきやさにあらず、その辺はこの後追々と。編集部にレポートを投稿賜るようになって随分長くなりましたね。毎号、楽しみになさっている読者諸氏も多いのですよ。
A男:かれこれ五、六年になりますかね。楽しみにして下さって居る方がいると伺って、僕たちもうれしいですね。励みになります。
編集部:励んで居られますからね(笑)。…などと軽口を叩きましたが、本日私共も一体如何なる風体の紳士淑女とお逢いできるのかと楽しみにしておりましたが、いや、実に眉目秀麗で居られましてネ。
A男:彼女の方はそうですネ(笑)。
編集部:いやいや、殿方もなかなかの恰幅で大変結構であります。さて、恒例によりまして、お二方とついでに編集部も浴衣に着替えましてね、くつろいだ姿となっておられますが、飲み物もありますのでネ。お二人とも飲まれる口ですよネ。
A男・B代:大丈夫です。
〈写真:まずはビールで乾杯のお二方〉
編集部:喉を潤して頂いて口も滑らかにと参りましょう。如何でしょうか、このような趣向は?
A男:大体においてこのような場所はこっそりと忍んで来る所でありますからね。改めてこのような格好でインタビューとなりますといささか恥ずかしいですね。
編集部:女性の方が堂々としていらっしゃる。
B代:そんなことありません(笑)。
編集部;それではこれも恒例によりまして貴方がたと弊誌との馴れ初めを教えてください。
A男:初めて目にしたのは〇〇市の鄙びた本屋でしてね。書店の奥に地下流通のような書籍があったもので、その中から見つけたのが最初ですね。それまで目にしていたありきたりのモノよりも随分と興奮したのを覚えて居ります。店主がすっかりお爺さんだったというのもありがたくてネ(笑)。内容を拝見すると随分と衝撃的で、ああ、こういう雑誌があったのか! とひどく感動したものですね。
編集部:弊誌草創の頃から愛読いただいて居る様で有難うございます。B代さんはいかがですか?
B代:わたくしは此方(A男)から本を拝見致しまして初めて存じ上げました。
編集部:有難うございます。本日は写真担当で私の家内も同席しておりますが、夫婦二馬力で奮闘しておりましたね。警察にもちょくちょく呼ばれまして(笑)。その頃の内容で印象に残っている記事などございますかね?
A男:今もありますけど「男根礼賛」、「女陰礼賛」などかはいいですよね。
編集部:B代さんはご覧頂いてみていかがですか? 貴女のような淑女が弊誌をお手に取って居られるとは光栄ですが。「男根礼賛」にも投稿頂きましたね。
B代:いろいろ愛読させていただいてたまに投稿して誌面を汚しておりますが、そうですね…「真昼の密会」には毎号目が行ってしまいます(笑)。自分と同じような方がいらっしゃるようなので、すごく安心感を得ております。
編集部:有難うございます(笑)。見えないところで読者の輪が広がっていくのは望外の喜びです。それでは、弊誌のことからで恐縮でございましたが、今度はお二人の馴れ初めにつきまして、改めて読者諸氏に教えて差し上げてください。
A男:馴れ初めですね。まあ、職場の同僚だったということですね。
編集部:お堅い職場だと伺っていますけど?
B美:二人とも中学校の教師でございます。
編集部:そうなのですよね。只今は弊誌と昵懇の旅館の一室にお越しいただいている訳ですけれども、元来変態性欲愛好者のサークルを謳う弊誌にはおよそ似つかわしくないお二人なのですけれども、いわゆる「聖職」に就いていらっしゃるということで。しかも、それだけじゃなくて、お二人ともお連れ合いもいらっしゃると承っているのですけれども…よろしいのでしょうか? 聖職に身を置かれていて夫でもあり妻でもあるお二人が弊誌のようないかがわしい雑誌と関係を持たれておられる訳ですが(笑)。
A男:私も全く同感であります(笑)。 
編集部:お二人のことはどなたかご存じなんですか?
A男:ご存じだったらとっくにクビでしょうね(笑)。家庭的にも妻子は許してくれないでしょうね。


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