⑤脅迫-2
「今日、夜の診療の時楓花に紹介されたと言って植山って高校生が来たんだ。面白い子でね。先生の知り合いの女性だって厭らしい画像を見せて呉れるんだ。顔にはモザイクが掛かっているから誰だか判らないんだけどショートヘアーでアラサーの人妻だと言うんだ。多分お向かいの前田さんの奥さんだと思うんだ。着衣の上からは想像出来ないほど豊満な肉体だったよ。『フレンチのフルコース奢ってくれたらモザ無し画像とキスシーンの動画見せるよ。』って言うんだ。で、今度の土曜日だけれと一緒にディナーなんだ。晩飯の用意はしなくていいからね。」
「何でそんな事に興味を持つのよ？あなたは医者よ。最低だわ。」
「凄く卑猥な写真で自分でヴァギナを開いているんだ。これが前田さんの奥さんかも知れないと思ったらどうしても見たくなってね。あの奥さん俺の事馬鹿にして高飛車な態度だからそれで留飲を下げたいんだよ。週刊誌だってこの手の記事の時は凄く売れるって言うじゃない。こういう事に興味ある男は俺だけじゃないよ。とにかくもう約束しちゃったから土曜日は外食するよ。」
（あの子あの合成写真また作ったのだわ。困ったわ。）
それから植山少年は来ない。
夫の立花外科へは腰痛の治療で頻繁に訪れているようだ。
木曜日。あと二日。
少年に弱みを悟られるのは嫌だったがLINEする。
「どう、あの合成動画出来たの？」
「うん。友人のお兄さんが映像学部だったので教えて貰ったんだ。最高の動画が出来たよ。」
「それ消して欲しいんだけど。」
「嫌だよ。そのお兄さんが言うには着衣の楓花先生を見てこの女性にしたら身体が豊満すぎるよって先生の３サイズを透視ししてくれたんだ。
色んなモデルと仕事しているから判るんだって。その３サイズにマッチするAVを探すのにどれだけ苦労したか。」
「そんな真に迫った動画なら尚更だわ。そんなのスマホに落として持ち歩かれたんじゃ堪らないわ。すぐに消してよ。」
「この動画、今は僕の最高のずりネタなんです。見た瞬間勃起するんだ。それも中途半端な勃起じゃないよ。なんせ人妻美人女医がガキの僕を抱いてキスしてくれるんだからね。」
「あのキスだって合成写真で脅されてほっぺにチュッだった筈よ。それをこんな大事にするなんて許せないわ。すぐに消すのよ。」
「嫌だと言ってるじゃないか。どうしても消しって欲しいなら僕のフェラ抜きするんだな。嫌だろう。だから諦めろ。」
「今なんて言いました？侮辱は許しませんよ。」
「フェラ抜きって言ったんだ。してくれるとは思っちゃいねぇよ。それくらい大事な映像だって言ってるんだ。」
「困った。」
早速、美沙の自宅を訪れる。
「美沙さん、ちょっと先日の植山って子の事で相談したい事があるの。」
リビングに通される。
経緯を詳しく話す。
「あの子私にも変な合成写真持って来て筆おろしを迫ったのよ。幸い私たち夫婦は冷え切っているから『夫に見せるって言うのなら見せるがいいわ。』て啖呵を切ってやったの。そしたらあの子本当に夫のLINEに送ったのよ。恐ろしい子だわ。スマホを持って夫が来たわ。『よく見なさいよ。私そんなにナイスバディじゃないでしょ？』と言うと『本当だ。美沙の左乳房の黒子がない。誰がこんな物送って来たんだろう？』って首を傾げてたわ。」
それとなく少年の無鉄砲さを教える。
「それじゃ、フェラ抜きしなければ本当に夫に見せるって事じゃないの。私怖いわ。」
「でも脅迫ってあの子にとっては些細な事なのかも知れないわよ。それが証拠にその後も平気な顔で我が家に遊びに来るもの。」
「だから恐ろしいのよ。些細な事だからこそ平気で人に見せたりするのよ。」
「あの子はああ見えて純なところがあるからそこを突くしかないわね。『フェラ抜きして上げるから動画を消してから浴室で洗って来なさい。』って言うの。そして浴室に入っている間に帰っちゃうの。あの子人間不信に陥るかも知れないけどいい薬だわ。でも最悪上手くいかなかった時はどうする？」
「その時は彼の希望を叶えるわ。どうしても消して貰わないと困るの。」
「その覚悟があるなら私は何も言わないわ。」
「診療室でそんな事出来ないしラブホに少年連れて入るのも嫌だわ。」
「それじゃ、私の家を使いなさい。万一の為寝室も用意しておくわ。それに私も立ち会うからきっと上手くいくわよ。」
「えっ、本当？美沙さんがいて呉れたら安心だわ。ありがとう。」