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ガリガル!!
【コメディ 恋愛小説】

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ガリガル2!!-5

「ごめんなさいっ!サンドイッチです…」
私はモコとアリに頭を下げる。
「メイクがこんなに時間掛かるもんだと思わなくって…」
私は今朝、初メイクに戸惑い、お弁当を作る時間が削られてしまった。
しかし、二人とも
「何言ってんの!作ってもらってる立場のうちらが、責める訳ないでしょ」
「そうだよ!むしろ、アリたちはチィが可愛いくなって、めちゃめちゃ喜んでるっつぅの」
と優しい言葉をくれた。
「本当ごめんねぇ…明日は頑張るから!!」
お弁当箱を渡しながら、本当に明日はもっと余裕を、と思う。
それにしても。
もうすぐ、響平が来る。私の女の子らしい姿を見て、響平はどう思うんだろう。そんなことを考えると、緊張して息も出来なくなる。
「チィ、大丈夫。可愛いよ」
私の肩をポンと叩いて、アリが言った。
「すっごい可愛い。アタシ、惚れ直しちゃうモン」
モコが笑った。
どうやら、この二人にはどうして私が変わろうとしたのか、分かっているらしい。少しだけ、緊張が解れた。
その時、教室の扉がガラッと音を立てて開いた。振り返ると、目を擦りながら欠伸をしている響平が立っていた。
目が合う。
「どう…かな?私、女の子らしくなった?」
瞳を大きく開いて、驚いた表情をした響平は暫くしてから、口を開いた。
「…チィらしくない…。何か…ヤダ…」

『ヤダ』か…。

「私が…どんなに頑張っても…響平は…女の子として見てくれないんだね」
「…チィ…?」


気が付くと、私は旧校舎の教室で膝を抱え泣いていた。
ここは今は使われていないが、私が一年生だった時の教室。
ふと当時のことを思い出した。
入学式―。私はたくさんある教科書を、ロッカーにしまい、張り詰める空気の中、急いで自分の席に戻る途中だった。机と机の間の狭い通路は、人がギリギリ擦れ違えるのがやっと。
その時、擦れ違いざまに相手がバサバサと教科書を落とした。
しーんと静まり返る教室。「やっべぇ…」と言いながら、クラスの視線の中、教科書を拾っていたのが響平だった。
私も拾うのを手伝う。
数冊の教科書を渡した時、響平の「ありがと!いい奴だなっ」と笑った顔に、私はやられた。


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