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ガリガル!!
【コメディ 恋愛小説】

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ガリガル2!!-3

「よーっしゃ、終わったぁ!チィっ!カラオケ行くぞぉー!!」
後ろを振り返ると、響平は既にカバンを肩に掛け、思い切り伸びをしていた。
「早くしろよ!俺がカラオケ大好きっ子なのしってんだろ?」
「うん、知ってるけどちょっと待っ…」
「待てませーんっ」
「あぁっ!」
響平は私のカバンを引っ掴むと、さっさと教室を出ていってしまった。私は急いで追い掛ける。なのに、追い付いたのは昇降口だった。
「響平、足速い…」
「まぁな。ホレ、行くぞ」
そう言いながら、響平は私のカバンを差出しす。私はそれを受け取り、肩に下げてから、靴を履き替えると、もう外に出て待っている響平のもとへ駆けていった。
「遅いっ!」
「別に普通じゃん!カラオケまで徒歩五分なんだし、そんな急ぐ必要ないでしょ?」
「俺は一分でも、一秒でも早く歌いてぇんだよ!」
「…音痴のくせに」
「なっ、うっせぇ!!俺は歌いたいんじゃない、シャウトしてぇんだ」
「…自分に酔って歌うくせに」
「…俺はシャウトしたいんじゃない、歌いてぇんだ!」
「戻ったじゃん」
「…くっ…歌いてぇんじゃない。歌うことが好きなだけだよ!」
「はいはい。あーもう、面倒臭いなぁ」
「面倒臭いってどういうこどだよ!?」
「そのまんまだよ!」
悔しそうな顔をする響平を見て、私はつい吹き出す。一緒にいてすごく楽で、話しやすくて、私の笑顔を簡単に引き出してしまう。
ふわふわとワックスで立たせた黒髪と、程よく筋肉の付いた体と、切れ長で二重の真っ黒な瞳と、甘いハスキーボイス。モテない訳じゃない。むしろその逆…。そんな響平を無謀にも好きになって、私はえらい世間知らずだと思う。仮にも告白したとして、ありえないけど付き合ったとして、私は響平の彼女として相応しくないと思う。だいたい、私たちは釣り合わない。片や見た目が男みたいな女、片や誰でも認める男。想像しただけで笑っちゃう。


あっという間にカラオケボックスに到着。フリータイムで、知ってる曲を片っ端から入れまくる。最初は二人で代わる代わるで歌っていたけど、最終的には二人でマイクを掴み、スタンディングオーベーションで熱唱していた。
「ふぃ〜、歌った歌ったぁ…」
響平は満足気にソファに腰を下ろした。
「ストレス発散出来た?」
「バッチリ!ありがとうな、チィ」
私に向けられた笑顔にドキッとする。すると、私の口はとんでもないことを言っていた。
「響平ってどんな子が好きなの?」
「へ?タイプってこと?」
もう一度、響平が聞き返す。私は、なぜこんなことを口走ってしまったのだろうかと、今更後悔してしまう。
しかし、当の本人は気にする様子もなく
「そうだなぁ、女の子らしい子かな!」
と、答えた。
「そっ…か…」
じゃあ、私なんて眼中にないんだね…。
「で、何でそんなこと聞くんだよ?」
「ううん、別に。得に意味はありません」
「あっそう」
私は崖に突き落とされた気分だった。だけど、そんなこと響平に悟られちゃいけない。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
こんな気持ちのまま響平と一緒にはいられない。辛い、悲しくなる。
「ああ、そうだな。帰るか!」
急いで会計を済ませ、響平からの一緒に帰ろうという誘いを断り、私は一人で家とは逆方向に歩いた。


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