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月灯り
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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プレイの終わり-1

 妻が青年の耳に唇をつけた。それが愛撫でないことは、なんとなく分かった。私は、青年の尻の蕾に舌を這わせたり、あるいは、青年の逞しいそれが妻の小さなその部分に出入りするのを見たりしていた。その時に、妻と青年の顔が近づくのも見えてしまったのだ。妻は何かを青年に囁いているようだった。最初、私は、それを青年を愛しはじめた妻がそれを告白しているのではないかと嫉妬したのだが、その嫉妬はすぐに終わり、もしかしたら、と、別の不安を覚えた。
 何故なら、青年がすぐに「そ、それは無理です」と、小声で言ったのが聞こえてしまったからだ。そして、私が再び青年の蕾に舌を這わせる、彼のその部分が異様に盛り上がるのを舌先が感じた。私の不安は的中した。妻はさせようとしているのだ。自分さえしたことのなかった行為を青年に先にさせようとしているのだ。
 そんなことが私に出来るだろうか、と、そう思いながら、それでも、私は、口を大きく開き、青年の蕾をその中心に当てがった。その行為は青年に、私の覚悟は出来たから大丈夫だ、と、伝えるものだった。
 青年から唸り声が漏れた。性的な場面には相応しくない声だった。ああ、これで、私は人生で取り返しのつかないことをしてしまうことになるのだな、と、そう思った。人間として、してはいけない最低の行為を私はしてしまうのだ、と、そう思い、心が沈んだ。心は沈んでいるはずなのに、アソコは痛いほどに膨張していた。
 いよいよ、と、そう思った時、ホテルの部屋の備え付けの目覚ましが鳴った。何かの間違いなのかと思ったが違っていた。妻がセットしたものだったらしいのだ。
「うーん。 最高の場面だけど、約束は約束だから、今日は、ここまでにしましょう」
 妻が言うと、青年も、あっさりと身体を反転させた。なるほどと思うものの、怒張したままの青年のそれを見ると、私は申し訳けない気持ちになった。女である妻には、その意味するところがきっと分からないのだ。
「せめて、射精だけでも、させてあげないと」
 私は妻に言った。それはベッドの上の私の声ではなく、いつもの彼女の夫としての私の声だった。声の感じから妻にもそれと伝わるはずだ、と、私はそう思っていたし、実際、それは妻にも伝わったようだった。
「だめなの。私とあなたはいいの夫婦だから。でも、彼は道具だから。道具の事情は私たちには関係ないの。これが嫌なら、彼は次の誘いを断ればいいだけだから。遊びって、そうしないとダメなのよ。あなた、子供の頃にそうやって教わらなかったの。遊びは、時間を決めたら、きちんと終わらせなきゃいけないのよ」
 確かに、遊びには、きちんとした決まりがあったほうがいい、ルールがあり、マナーを守るから遊びは面白いのだ、と、そう習ったような気がした。
「また、誘ってもらえるんですか」
 青年が私に尋ねた。それは尋ねる相手が違うだろう、と、私は思った。それなのに私は「当然じゃないか。今回ははじめてで、私たちは、まだ、何もしていないようなものなんだから」と、そう答えてしまっていた。


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