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島の少女(海女編)
【ロリ 官能小説】

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24)2人目の少女-1

24)2人目の少女

金曜日、学校から帰るとテーブルに紙が置かれていた。

『 しばらく出掛けてきます。
  相談があったら さなちゃんのお母さんにしてください。
  マモンより 』

1年前にも、こういう事はあった。
その時の『 しばらく 』は長かった。半年間は帰って来なかった。
ずっと前から母(マモン)は心が不安定なところがあって、不思議な事をいっぱいしてきた。

母は、この島の出身のお祖母ちゃんとフランス人の祖父との間に生まれたハーフらしいが、わたしは祖父に会った事が無い。ついでに言うと、わたしは父とも会った事が無かった。
父もフランス人らしくて、母は「 フランスでお仕事してるのよ 」と言っているけれど、電話も手紙も、1度も来たことが無い。写真も見たことが無いから、声も顔も知らない。
わたしの歳が上がっていく内に、周りからいろいろな噂(うわさ)が聞こえてきた。
お祖母ちゃんは、この島の生まれで若い時は海女をしていたそうだけど、祖父と恋愛した結果、1度島から出て行って、数年後に赤ちゃんだった母を連れて1人で(赤ちゃんと2人で)帰ってきたらしい。
そして、母はと言うと、自分は海女になりたくなくて、高校を卒業してから家出みたいにして島を出て行って、やっぱり数年後に赤ちゃんのわたしを連れて(赤ちゃんと2人で)帰ってきたそうだ。

わたしの住んでいる島は、昔ながらの海女の生活をしている人が多くて、昔風の考え方とか海女の誇りとかを持っている。
だから、お祖母ちゃんや母の事は白い目で見られている。それでも、お祖母ちゃんが生きている間は少し友達もいたようで、いろいろと生活とかを助けてくれていた。
でも、2年前にお祖母ちゃんが死んでからは、友達が全くいない母との2人暮らしになってしまい、助けてくれる人も無くなって、本当に生活が大変になっていた。

今は、同級生の さなちゃん だけが、気に掛けてくれている。
さなちゃんの家も大変で、海女だった本当のお母さんは何年も前に死んでいて、3年ぐらい前に新しいお母さんが来たけれど、直ぐに本当のお父さんが出て行ってしまって、今は新しいお母さんと2人暮らしだ。
家族の苦労が少し似ているからか、その新しいお母さんも、わたしの事を気にしてくれている。
それに多分、外から来た人だから、あまり島の古い考え方を気にしていないのだと思う。

わたしの母は、自分の事を『 マモン 』とわたしに呼ばせていた。
正確に言うと、マモンとママンの間ぐらいで、手紙の文字が マ『モ』ン とカタカナで書かれているのが、かえって変な感じだ。
わたしの前で、母はフランス語は話さなかったから、わたしは全然フランス語が分からない。
だから、この『 マモン 』だけが知ってるフランス語だけど、それを教えた本人がカタカナで書くのは止(や)めてほしい。
(でも、わたしはフランス語の文字を読めないから仕方がないけれど…)

〜〜〜〜〜〜

母の手紙… というよりも 書き置き を見ていると、そんな事が頭の中を回転していた。
自分の頭が、パニクってる気はしないけど、でも、無理に冷静ぶってる気はする。
無意識でパンをトースターに入れていた… まだ夕食の時間じゃないのに…
無意識でお風呂を沸かしていた… まだ入浴の時間じゃないのに…
やっぱり、心がまともじゃなかった。

だって… だってまだ、わたしは11歳の子どもなのに… どうしたらいいの…

明日から2日間は土日で学校は休みだ。
だから、明日は さなちゃんの浜辺で海女の練習をするつもりだった。
明日はきっと、さなちゃんに会える。だからその時、相談してみよう。さなちゃんのお母さんにも会わせてもらおう。

そう考えたら、少しだけ心が落ち着いた。
明日する事… それが分かっただけでも、こんなに安心できるんだ。
さなちゃんのお母さんなら、きっと助けてくれる。

〜〜〜〜〜〜

日が傾いてから、1度焼けて冷(さ)めてしまった1枚のパンをもう1回焼いて、ジャムを塗って牛乳と食べた。
今までも母の調子が悪い時は自分で料理をしていたから、何か作ろうと思ったけれど、冷蔵庫にほとんど材料が無くて、今日はこれだけだった。
お金もほとんど残っていない。
やっぱり、さなちゃんのお母さんに助けてもらうしかないと思う…

そんな時、家の固定電話が鳴った。

「 もしかして おかあさん… 」

日頃 マモン と呼べと言われていても… それから心の中で考える時は 母(はは) と呼んでいても… それでも咄嗟に出てくるのは『 おかあさん 』という言葉だった。

でも、おかあさんのはずは無い… と心の奥では分かっていた。
電話に出ると、さなちゃんのお母さんからだった。正直、ほっとした。自分の母よりも、ほっとした。
今、電話が来ても何の役にも立たない母よりも、一番助けてくれる人からの電話が一番うれしい。だって、明日からの生活を助けてくれるはずの人なのだから…

お話の内容は、とても意外なものだった。さなちゃんが海女の取材を受けるから、わたしにも明日の午後から浜に来てほしい、という事なのだ。
でも、明日、確実に さなちゃん と会えるのだから、すごくうれしい話だし、それが、さなちゃんのお母さんからなのも、すごくうれしかった。
取材の後、一緒に さなちゃんの家 に行ければいいな、と思う。

電話の後は、お風呂に入って早めに寝た。
普段から母は、お酒を飲みに行って帰りが遅くなる事がよく有った。だから、1人で寝る事も多くて慣れている。
それに、明日何をするのかという事も、そして、さなちゃんのお母さんに相談できるという事も、分かっている。

だから… 

その少女… みさき は、いつの間にか、ぐっすりと寝入っていた。


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