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みにくいツラのぼく
【その他 官能小説】

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大型連休のさなかに-3


   ▽

 それから2ヶ月ほどすぎて、夏休みの中ごろになりました。
 ぼくは父母と、二人の兄たちといっしょに久々に『本拠』を訪ねました。

 別にぼくの空白は問題にされず、兄たちは二人とも例によって本拠に集まった親類の女性たちにちやほやされていました。

 でもぼくはそんな兄たちのようすを間近から、楽しく見つめていることができました。
 (大型連休で体験したからかな……まあ、兄さんらなんか、もうぼくの年には体験しとったんやろけどな。)

 夏の太陽が西に傾いたころ、ぼくは『本拠』の、北寄りの棟を歩いていました。
 太陽の光があまり届かない、風通しのよいそこの一室で、掛け軸の虫干しをしていました。

 ぼくが軸の漢文や山水画に見いっていると、廊下に足音が聞こえてきました。
 (うわ……大おばあさまと、大おくさまやんか……。ソッコーでご挨拶せんとアカンな。)

 ぼくが二人の前に進み、(お疲れさんです)を言おうとする寸前に、大おばあさまがぼくの前に歩いてきて、ぼくの頬を両手ではさんで(ぼくより背が高いから)顔を見おろしたんです。
 「よお来てくれた……。ええ顔になって……。うちのモンの顔や……」大おばあさまが言いました。
 「ほんまに……」大おくさまが言いました。「うちのるい(累?)の顔やねぇ。」 

 二人はそう言うとぼくから離れ、出されていた掛け軸を並べかえにかかりました。
 ぼくは一礼だけしてその場を急いであとにしました。

 (なんやろ。
 ぼくの顔にホメる所ないから仕方なしに言うた、ってワケでもないんかな。)

 廊下を進んでいると、角に誰かが立っているのが見えました。
 誰かわからないけど、女の子のようです。
 「ミッくん……」その子には、ぼくがわかってるようでした。

 「なんで、ずっと来えへんかったん。
 そんなに、ワタシの顔、見るのがイヤやったん?」


   【おしまい】


 


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