投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

GAME
【ミステリー その他小説】

GAMEの最初へ GAME 1 GAME 3 GAMEの最後へ

GAME-2

日常通る道から外れた車は、交通の多い国道に出て少し走った所にある一軒のゲームショップへと着いた。
駐車場に車を停め、私と兄は雨に濡れないよう急いで店へと入った。
月に何度か訪れるそのゲームショップの一角で、本日発売と描かれた看板の下にある目的のゲームソフトを見付けた。
「これこれ、お兄ちゃん」
私はそれを手に取って兄へと見せた。
「よく覚えていたな」
「うん。先週買った雑誌に載ってたんだ」
今日は他のゲームに用はないので、私は早速そのゲームが入った箱を手にレジへと向かった。
前の人の会計が済み、私は手に持った箱をレジへと置き、鞄から財布を取り出した。
「一点で6840円です」
財布からお札を出したそこへ後ろから手が伸びてきて、お金の受け皿に万札が置かれた。
兄が払ったのだ。
「俺もそのゲーム欲しいと思ってたから、俺が買うよ」
「でも…」
最初から予想は付いていたその行動。
すべてにおいて私に甘い兄は、何かを一緒に買いに行けば大概自分が買ってやろうとするのだ。
だけど、流石にそこまで甘えるは悪いと思った私は、兄を説得して、結局半分ずつ支払うことに落ち着いた。
「ありがとうございましたー」
悪いとは思いつつも、兄のおかげで出費が半分で済んだことと待望のゲームが手に入ったことで、私は帰りの車の中、ずっと上機嫌でパッケージの説明を読んでいた。

説明を読み終える頃にはもう、家のすぐそばまで辿り着いていた。
ふと、見慣れた住宅街の真上を窓越しに見上げた。
灰色だった雲がどんよりと黒く厚い雲に変わっていた。
車のガラスには横殴りの雨が打ち付け、所々の民家から背を伸ばしている木々達は、頭を垂らして風に耐えていた。
その強風の中を車は進み、やっと家へと着いた。

「ただいまー!」
玄関を閉め、家に居るだろう母に今帰ったことを伝える合図を出した。
「おかえりなさい。…あら、あんたスカート濡れてるじゃないの。洗濯するからすぐに着替えてらっしゃい」
「はーい」
私が返事をして家へ上がる時、ちょうど兄が玄関へと入ってきた。
「おかえりなさい。ご苦労様」
「ああ。ただいま」
言って、家へ上がる兄に母が、あなたも濡れてるの?洗濯する?と聞いたけど、兄はいいと一言だけ伝えて階段を上り始めた。
私もその後に続いて階段を踏んだ。
「迎え、ありがとう。お兄ちゃん」
「ああ。いいよ。それより早く着替えないと風邪ひくぞ」
「うん」
階段を上がって右側が兄の部屋。
左側が私の部屋となっていたので、私達は上がってすぐの廊下で別れた。
着替えた制服を洗濯物かごに入れたその足で、私は兄の自室へと向かった。
右手でドアをノックし、左手には先程買ったゲームを持っていた。
「お兄ちゃん、入っていい?」
「ああ。いいよ」

私はゲームをするのが好きだ。
でも、それと同じくらい兄がゲームをしているのを眺めているのが好きだった。
変わっているのかとも思うけれど、昔からそうだったのだから仕方がない。
特にホラーやミステリーといった怖いゲームは、自分一人でやるのなんて考えられなかった。
今回買ったゲームは、ホラーではなく犯罪色の強いアクションゲームだったが、それでも私は兄にやってもらい、それを眺めていようと思ったのだ。
海外で有名になり、あまりの過激さに18才未満は購入さえ禁止されているこのゲームを。


GAMEの最初へ GAME 1 GAME 3 GAMEの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前