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GAME
【ミステリー その他小説】

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GAME-1

自分は人と何が違うのだろうと考える時があった。
日常では頭に浮かばないそれも、非日常の世界ではいつも思い悩まされていた。

人を殺すのを目的としたゲームがある。
その中で自分は、殺すべき対象でない相手、殺しては点数や評価が下がってしまう相手をわざと銃で撃ち抜いては快感を覚えていた。
自分は守るべきひ弱な存在を慈しみながら殺すことに、悦びを感じているのだと気付いた。
自分の中には、狂喜が潜んでいるのだ。


その日は、風の強い日だった。
季節外れの台風がこの国に近付いているからなのだと、朝の天気予報で知った。
学校から帰る時には、雨もパラつき始めていた。
傘は持って来ていない。
それでも問題は無かった。

私は鞄の中から携帯電話を取り出した。
「……あ、もしもし、お兄ちゃん?…うん、私。……うん、あのね、今から帰るとこなんだけど…雨降っちゃってるんだ。でも、傘忘れちゃって…」
そこまで言えば、兄は理解してくれた。
10分後に車で迎えに来てくれるのだ。
私は下駄箱の前で靴を履き替えて待つことにした。
ちょうどここからは校門とその周辺が見える。
車が来れば、直ぐに分かるのだ。
次第に強くなっていく雨に、他の下校者の文句が多くなった。
私はクラスメイトや他のクラスの友人達と別れの挨拶を交しながら、時間が過ぎるのを待ち続けた。

約束の10分が近付いた頃、私は雨が当たらないぎりぎりの場所まで進んで校門の辺りを見回した。
そこへ赤い軽自動車が校門を少し過ぎて、フェンスの前へと横付けした。
兄の車だ。
私は鞄を傘代わりにして小走りで車へと向かった。
「もう、サイアク。雨まで降るんだもん」
助手席に乗り込んで、ドアを閉める前に鞄に付いた水滴を叩いて落とした。
「どうやら台風が近付いているらしいぞ」
「うん、知ってる。担任が、明日上陸したら休校となるかも知れないから連絡網を回せる準備をしておきなさい。って言ってた」
兄はそうか。とだけ言って車を発進させた。

昔から、私達は仲の良い兄妹だと言われていた。
私もそうだと思う。
三つ年齢が離れているにも関わらず、何処に行くにしろ、何をするにしろ、私は兄の後をずっと付いて回っていた。
兄は私にとても優しく接してくれるし、私はそんな兄が大好きだった。
それは、思春期という避けては通れない壁にぶつかっても、大きく変わることはなかった。
天気予報で予め傘が必要なのだと分かっていても、兄が今日は大学が休みで一日家に居ることを知っていた私は、あえて傘を持たずに学校へと行った。
こうなることが予想出来ていたからだ。
その予想通り、兄は私の甘えを聞いてくれた。

そんな兄に、私は甘えついでにもう一つ甘えてみることにした。
「ねえ、お兄ちゃん。このまますぐに家に帰らないとまずい?予定とかあるの?」
「ん?特にないけど。どうした?」
「あのね、今日新しいゲームが出るからね、それを買いに行きたいんだ」
女子高生なのにも関わらず、私はゲームが大好きなのだ。
いや、それは普通なのかも知れないけれど、私が普通と変わっているのは、アクションやサバイバルといったジャンル、特に銃で人を撃つような犯罪色の強いゲームが好きなことだ。
兄もそういったジャンルのゲームが好きで、私の趣味はそんな兄の影響が多大にあると思う。
その為、兄は私の甘えに快く応じてくれた。


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