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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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憲=綺麗?-2

「何を怒ってるんだよ。文化祭の道化に……違った。主役になれるんだぞ」
高坂は凄く楽しそうに言い間違えた。
「今、道化つったろ」
「……そうとも聞こえたかもな」
「そうとしか聞こえんかったわ!!!」
まぁ、確かに女装コンテストなんて、道化にしかならないよな。
そう思ってると憲がアタシを見る。半泣きだ。
「白雪…お前は裏切ってないよな?」
う……。
「……憲、すまない」
その瞬間の憲の顔と言ったら……、思い出しただけでも罪悪感に苛まれそうになる。
まるで、砂漠で乾ききった状態の中、見つけたオアシスが塩湖だった遭難者のような、クラスの全てが敵に回った事実に気づいて愕然とした顔だった。
「し、白雪…信じてたのに」
「憲、アタシも心苦しかった。けどな」
「………けど?」
「利用できる者は利用しないともったいないだろ」
「う…裏切り者おおおぉぉぉぉぉぉぉぉ………!!」
泣きながら憲は廊下に消え、叫びがドップラー効果を起こしながら憲の後を追って消える。
事実、その日憲は放課後まで帰って来なかった。


放課後。
「うぅ、信じてたのに。裏切り者」
屋上に行くと思いっきりいじけた憲が『の』の字を書いていた。
「……憲」
意を決して憲に話しかける。
「白雪……」
「う」
そんなに悲しそうな顔するなよ。本当に罪悪感に苛まれそうだ。
「ゴメンな。高坂がみんなを焚き付けてさ。アタシも賛成しなきゃいけないムードに」
「利用できる者は利用するんだろ?」
うぅ、根に持ってる。
「あ、あれは言葉のあやって言うか」
「真実だろ?」
「うぅ」
駄目だ。完璧にいじけてる。こんな憲を見るのは初めてだ。
「なぁ、憲。嫌なら、良いんだぞ。辞めても」
「………」
「アタシの場合はともかく、憲の場合は憲がいないとこで決めちゃったろ?だからさ、嫌ならアタシも一緒に抗議するからさ、機嫌直してくれよぉ」
「どうせ道化になるんだよな……」
………。
「太田 憲!!」
「は、はい!」
大声を張り上げたアタシに驚いて、憲は飛び上がって振り向いた。
「いつまでもうじうじしてるなっ、男だろ!!!」
全く、いつまでもうじうじうじうじして!
アタシが惚れた太田憲はそんな男じゃない!
「う、そう…だよな。うじうじしたって、状況は好転しないか……」
「そうだぞ」
「ふぅ………よし!独のバカにいっちょ直談判するか」
そう言って憲は屋上から降りていった。さすがはアタシの惚れた男。立ち直りが早い。

「ようこそ、『ビューティーサロン3ー6』へ!」
憲と共に教室に戻り、扉を開けると顔に満面の営業スマイルを貼り付けた麻衣がそう言った。
その瞬間、もはや本能的に危機を察したのか。憲はわき目もふらずに猛然と逃げようとする。
……が
「逃がさないわよぉ。孝之!」
麻衣に召喚された孝之が憲にけたぐりをかました。


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