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願い
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願い-3

それから夏輝達は3日間歩き続け、見渡す限り何もない綺麗な砂浜に辿り着いた。
「この海を渡れば日本から出れるんだね。春菜、一緒に幸せを求めに行こう。」
夏輝はそう言うと春菜は笑って答えてみせた。
「うん!きっといい所に行けるよね!」
2人が笑顔で話していると、後ろの方から何台もの車がやってきてその車から大勢の兵士が降りてきた。兵士達はあっという間に2人を囲んでしまい、それぞれ手には銃を持ち夏輝と春菜に向けられていた。
「な、なんなんだお前達は!?俺達に何の用だ!?」
夏輝は春菜を自分の後ろへ隠して兵士達に叫んだ。すると兵士達の後ろから声がした。
「何の用だって?逃亡者を捕まえに来たんだよ。北川夏輝君?」
兵士達の後ろからこの前の軍服姿の男達が出てきた。しかもその後ろから佐藤も一緒に出てきた。
「佐藤さん…、何故あなたがそこに…?」
夏輝は佐藤が男達と一緒にいる訳が分からなかった。
「夏輝君達が村を出てすぐこの人達が来て、2人を見つけ出せってね…。見つからない場合は村人全員罰するって言われたから…。背に腹は変えられないんだよ。なぁ、頼むから村に帰って来てくれよ…。」
夏輝は佐藤の言葉にふつふつと怒りが込み上げてきた。自分達が助かりたいがためにこんな事までするものなのかと。
「北川夏輝君、君の畑は我々政府にとっても大事な収入源なんだよ。それにお前の女もなかなかの代物だったぞ?お前には勿体ないわい!」
軍服姿の男は高笑いをしながら夏輝に言い放った。夏輝は男の言葉に対して怒りをあらわにした。
「くそ〜っ!!なんなんだよっ!俺達に自由は無いのかっ!?幸せになることは出来ないのかっ!?」
男は夏輝の言葉を聞いて高笑いをやめ厳しい表情で叫んだ。
「そうだ!お前達に自由なんて無いんだよ!幸せなんて無いんだよ!所詮お前達なんて政府の道具に過ぎないんだよ!!生かしてるだけでもありがたいと思いな!」
夏輝はこの言葉に完全にキレてしまった。持っていたナイフを手に取り男の方へ走ろうとした瞬間だった。
ドドドドドッ…。ドドドドドッ…。
周りを囲んでいた兵士達が一斉に夏輝に向かって銃を放った。夏輝は砂浜に倒れ込み、春菜も流れ弾を体に受け倒れ込んでしまった。
「あ〜ぁ、女の方は生かしておいてまた楽しもうかと思ってたのに。まぁいい、おい!あの2人のコードナンバーを消しておけ!帰るぞ!」
軍服姿の男達と兵士達は車に乗り込み砂浜からいなくなってしまった。夏輝は意識の薄れていく中で春菜の手を握り締めた。
「春菜…、ごめんな…幸せにしてあげられなくて…。」
夏輝の声にも握り締める手にも春菜は反応しなくなっていた。
「今度…生まれ変わったら、いや…こんな世の中なら生まれ変わらなくていい。雲の上で…天国で…一緒にずっと…幸せに過ごそう。」
意識の遠のいていく夏輝の目からは涙が止まらなかった。
「春菜…、これからも一緒にいようね…。ずっと…ずっと…。」
夏輝はこれ以上喋る事は無かった。2人が横たわる砂浜には寂しく波の音だけが響き渡っていた。


「ねぇねぇ!今話題になってるあの本読んだ〜?」
「まだ読んでないんだよね〜。」
「なんかさぁ、あれ書いたのって小学5年生なんでしょ〜?」
「うっそ〜!?私達より年下じゃん!」
「そぅそぅ!それで今テレビとかでも注目されてるみたいだよ〜!」
「え〜!?マジで〜!?すごいんだね〜!」
「うん、なんかスゴいらしいよ〜!」
「へぇ〜、じゃあ今度買いに行こう!なんてタイトルだっけ?」
「えっと〜、タイトルは…」

the end...


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