第六章 ギュッとしてくれた-4
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大好きな、大好きな。
僕の、天使、僕の女神、僕の、僕の・・・・。
温もりの中で、無数の言葉が脳裏に浮かんだ。
ムチャクチャ、気持ち良かった。
本当に、このまま死んでも良いと思ったんだ。
「好き・・・・です・・・」
やっと絞り出した声は小さすぎて、吉川さんには届かなかっただろう。
「わたし・・・も・・・す・・・き・・・」
でも、彼女の掠れた声は聞こえた。
だから。
僕は。
彼女の背中を、ギュッとした。
彼女も。
そう・・・・。
同じように、ギュッとしてくれた。
十五歳の秋。
僕は、僕達は世界中で一番、幸せな二人だったかもしれない。