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HAPPY LIFE
【学園物 恋愛小説】

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HAPPY LIFEC-2

「橘さん」
次の日の朝、教室で思いがけない人が私の名前を呼んだ。
キャプテンの斉木先輩だ。
「悪いけど渡辺呼んでくれる?」
「はい!!」
急いで渡辺くんの所に行く。斉木先輩に話しかけられるなんて…しかも名前まで知ってる。あっ、千栄先輩が話したのかな?
「渡辺くん、斉木先輩が呼んでるよ」
「あっ、サンキュ」

先輩と渡辺くんは笑いながら話をしている。部活の時の真面目な顔しか見たことなかったから、なんか新鮮なかんじ。
じっと見ていると先輩と目が合った。ヤバい…ずっと見てたのバレたかな。おっと、渡辺くんが近付いて来る…なんだろ。怒られるかな。
「明日香ちゃん、先輩が呼んでるよ」
ワザとさっきの私のセリフと同じように言う。なんかムカつく。渡辺くんってそんな人だっけ?

「先輩、何か?」
斉木先輩って外見かなり怖いから話すのに勇気がいる。でも千栄先輩の話によるとすごくイイ人なんだよね。
「千栄がさ、これ渡してくれって」
差し出されたのは一冊のノート。表紙には『マネージャー日記』と書かれてある。
「マネージャー日記…ってなんですか?」
「マネージャーが練習の様子とか、部員がどうとか、毎日書くんだよ。それをみんなで回し読みする。それぞれ課題とか反省点とかいろいろ考えさせられるんだよ。それに対して部員日記もあるんだ」
「それもみんなで回し読みするんですか?」
「もちろん。マネージャーとしていろいろ勉強になると思うよ。それ、適当にまわして読んで。つうことで、また」
そう言って先輩は出て行った。自分の席に戻ってさっそく読み始める。思ったよりくだけた感じで読みやすい。みんな思ったこと、感じたことそのまま書いていて隠し事とか無いんだなっていうのがよく分かる。
「何読んでるの?」
「夕里、これ読んでみてよ」
夕里にさっき斉木先輩に聞いたことを話した。
「コレ見て見て、千栄先輩が秋人のバカって書いてる。ケンカでもしたのかな?」
千栄先輩、意外とやるな(笑)斉木先輩の困った顔が目に浮かぶ。


一通り読み終わってノートを返しに来た。千栄先輩も斉木先輩もたしか同じクラスだったから、このクラスで合ってるはずなんだけど…いない。どこ行ったんだろ。聞いてみたいけど、知らない先輩に話しかけるなんてとてもじゃないけどできない。
クラスの前の廊下をウロウロしていると私と同じくらいの身長で、茶髪でふんわりとしたパーマをかけた人が話しかけて来た。
「どうしたの?誰かに用事?」
一瞬、お人形が動いているのかと思ってしまったくらいとてもかわいらしい人だ。
「えっと…渡辺先輩か、斉木先輩に用事があったんですけど…いないみたいですね?」
「あぁ、あの二人ならこの時間はラブラブ中だから♪」
ラブラブ?学校で?しかも公認されてるし。

「誰がラブラブ中だって?」
千栄先輩がその人の背後から迫って来た。
「キャッ!…ゴメン。ちょっと遊んでただけだって」

「ごめんね、明日香ちゃん。コイツこうゆうことばっかり言うからさ。ちなみに私はトイレに行ってただけだからね」
どうやらさっきのはウソだったらしい。斉木先輩の姿もないし。
さっそくさっき借りたノートを先輩に渡して帰ろうとしたら呼び止められてしまった。
「明日香ちゃん。今日の部活、練習試合あるから長引くかもしれないけど大丈夫?」
「私は平気ですけど夕里はどうか…」
「わかった。いちおう伝えといてくれる?」
「はい!」
そう言って今度こそ自分の教室に向かって歩く。
二年生の教室の前を通りかかった時、関口先輩の声がしたような気がして振り返ってみたけど、やっぱり気のせいだったみたいで誰もいなかった。

関口先輩の前だと緊張しちゃって上手く話せない。あの時あぁ言えばよかった、こう言えばよかったって…必ず後悔するんだよね。いつになったら普通に話せるんだろ(笑)遠い先のことみたい。


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