加藤さんと……-3
「おう、加藤」
今度は兄貴、タコヤキ焼きながらあたしたちを見つけたみたい。
「タコヤキ食って行かねぇ？」
「サービスか？」
「いや、1年の身でそれは……じゃ、こうしよう、俺の奢りってことで」
「気前良いな」
「その代わり10分くらい待っててくんねぇ？ そしたら交代の時間になるからさ」
「ああ、わかった……裕子ちゃんもそれでいい？」
「うん、いいよ」
で、近くのベンチでタコヤキ食べたんだけど、加藤さん、左手にタコヤキのトレイを持って右手はあたしの腰を抱くの、だから爪楊枝はあたしが持って加藤さんにア〜ンって……。
JKさんにまでジト目で見られちゃった……けど、なんか優越感だったな。
「お待たせ……って、ずいぶんお熱いな」
「悪いな、兄ちゃんを差し置いて」
「まあ、俺はあくまで兄ちゃんだからな」
そう言って笑ってた。
その後は3人であちこち見て歩いて、夕方、近くのファミレスに入ったの。
お母さんには夕食要らないって言ってあったし。
だけど、時間がまだ少し早かったからお店には人影少なかった。
「お前ら、なんだかんだ言ってお似合いだな」
「そうか？ だったら嬉しいよ」
「裕子は？」
「うん、あたしも……なんかね、あちこちで『彼女か？』って聞かれて、加藤さんが『だったら嬉しいんだけどな』って答えるのが申し訳なくて……」
「『そうよ』って言ってやれば良かったのに」
「それはそうかも知れないけど……」
「何かそう言えない理由でもあるのか？」
「……わかってるでしょ？」
「俺のことか？」
「それと裕二も……」
「俺ら、きょうだいじゃないか」
「それだけとも言い切れないでしょ？」
「まあな、そう言う関係でもあるわけだけどさ、いい加減やめないといけないって思ってたところさ、ずるずるともう1年になるもんな」
「え？ それでいいの？」
「そりゃ、惜しい気はするさ、でもなんてったってきょうだいだからなぁ、どこかでスッパリ区切りをつけないといけないんだよ……今日だってJKはいっぱいいたろ？ 何となれば俺は不自由しないと思うぜ」
「裕二は？」
「俺からちゃんと言って聞かせる……多分だけどさ、あいつもモテると思うぜ、知ってるのと知らないのじゃ女の子の前で余裕が違うからな、あいつは勉強嫌いみたいだけどスポーツは得意みたいだしさ……あのな、俺も裕二も良い思いさせてもらったよ、だけどもうやめよう」
「お兄ちゃん……」
「ははは、いつもは兄貴って呼ぶのにな……別に元通りきょうだいなんだし、そんなお別れみたいな顔しなくても良いんじゃないか？……加藤……」
「ああ……言いたいことはわかってるよ、俺の気持ちはマジだよ、裕子ちゃんを大切にする」
「何年かしたら成長してロリじゃなくなるぜ」
「もうそんなの関係ないね、俺は裕子ちゃんが好きなんだから」
「そうか……それを聞いて安心したよ」
って言うことなの。
それから3年、あたしと加藤さんとはずっと続いてるし、兄貴は兄貴で、裕二は裕二で彼女見つけて幸せそうにしてるよ、下半身の方までは知らないけどね。
あたしはね……初めて加藤さんに会った時がああいう状況だったからさ、今でも変わらない。
背はあんまり伸びなかったし体つきも大きくは変わってないから加藤さんもあたしの身体に満足してくれてるみたい。
5P？ それが恋しくなることはないなぁ……2回経験しちゃったからもういいって感じかな、加藤さんに充分満足させてもらってるし。
加藤さんは『18になったら結婚しよう』言ってくれてる、来年卒業だけど、もう都内で就職決めてるし『その頃には俺も社会人として落ち着いてるだろうし』って……。
それってあと3年だよ、待ち遠しいけど、すぐだね、きっと……。