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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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混沌とした世界(後編)-10

ロンダール伯爵が、ゴーディエ男爵と会うことにした理由は、ソラナの凶運が消えていたことにあった。

牡のリングをつけたニルスと牝の指輪をつけたエイミーは、本人たちには自覚はないが、凶運から逃れる力を身につけている。ニルスは王都の貴族の血筋の者で旅に出なければ、震災で亡くなっていたかもしれず、エイミーはニルスと出会わなければ賭博場の女ディーラーだったので、賭博場の倒壊で亡くなっていたかもしれない。
地震のあった夜、ニルスとエイミーはドレチの村にいた。ドレチの村は、ロンダール伯爵領とバーデルの都の領土との境にある。ロンダール伯爵の別荘を提供してロンダール伯爵は、牡のリングと牝の指輪という呪物を身につけたニルスとエイミーを経過観察している。
ドレチの村は震災の被害は、微弱の揺れを村人たちが感じた程度であった。

地震が起きる前に占いによって凶運の兆しがあった者たちをバーデルの都へ潜入させていた。
凶運から逃れていれば、偵察に行かせたニルスとエイミーに出会えるだろうとロンダール伯爵は考えた。
ロンダール伯爵は凶運の兆しがある者たちを、バーデルの都へ排除することで、ロンダール伯爵領は、震災の被害から逃れた。
ニルスとエイミーからフェルベーク伯爵領の噂を聞いたので、震災後に凶運の兆しがあらわれたソラナを、フェルベーク伯爵領へ潜入させた。
ソラナに、どんな凶運が降りかかるのかまではロンダール伯爵やアナベルにもわからない。

しかし、ソラナはゴーディエ男爵と出会い、ロンダール伯爵と引き合わせた時には、凶運の兆しが消えていた。
ソラナがロンダール伯爵領にフェルベーク伯爵領へ行かなかったら、どんな運命だったのか。
ゴーディエ男爵と交わり魔族サキュバスになっていないソラナの凶運。
ソラナは、ロンダール伯爵の一族でも魔力を自覚なしで、身体能力を上げる力に変えて使っていた。呪術師とはちがう特殊な魔力の使い方を身につけていた。
蛇神の異界の門が辺境地帯の森で開いていて、結界で守られていないターレン王国へ障気が流れ込み、人の心に作用して凶事を引き起こしている。
フェルベーク伯爵領では「メス」に欲情するのは家畜の豚に欲情するようなものだと蔑まれる。
フェルベーク伯爵領を捨てロンダール伯爵領へ逃れてきた青年は、貴族のパトロンの老人に弄ばれる日々にうんざりし、貴族の老人を殺害して逃亡してきた。
この青年はフェルベーク伯爵領で生まれ育ったのではなく、奴隷市場で老人に落札されて連れて来られた。フェルベーク伯爵領の常識は青年にとって馴染めないものだった。
この青年が人かあまり通ることがない村はずれで、ソラナを見かけた。
ソラナは周りに人がいないのを確認すると草むらでしゃがみ、シャーッと我慢していた小便をした。
それを木陰で見かけた青年は、自分より少し歳上の女性は、下半身丸出しで抵抗できないと判断して、ソラナに襲いかかった。
後頭部を石で殴られ気絶したソラナを仰向けにして欲情した青年は、服を脱がしでさわりまくったあと、ソラナの頭の傷から流れる血を勃起した逸物に塗りつけて、牝の花へ押し込む。
行為の途中で目を覚ましたソラナだったが、時すでに遅く処女を奪われた。膣内に射精して油断している青年の首を、ソラナは憎しみを込めて絞め殺した。
後日、ソラナは強姦されて妊娠してしまったと気づいて自殺する。
そんな凶事がロンダール伯爵領で起きることで、ロンダール伯爵領は主に幼女や少女を保護しているが、バーデルの都から流れてきた男性が少女や幼女を強姦して殺害する事件が起こり始める。
ソラナが凶運から逃れたことで、ロンダール伯爵領に保護された幼女や少女の命が救われた。
ロンダール伯爵はどんな凶運がソラナを襲い、それが呼び水のように伯爵領で、次々と残虐な凶事が起こり始めるとは予想はできない。だが、直感的にソラナがゴーディエ男爵をロンダール伯爵に引き合わせたあたりから、ソラナの運命が変わりつつある予感があった。ソラナが凶運から逃れることで、ロンダール伯爵領を襲う凶運は別の土地へ流れる。
ゴーディエ男爵に犯された「メス」が目の前で眠り続けて死んでいくのを、ソラナは看取った。

(次はもっといいところに、せめて名前ぐらいつけてもらえるところに生まれておいで。じゃあね、さよなら)

一緒に暮らすソラナの凶運を代わりに受けた「メス」の最後の記憶はゴーディエ男爵の与えた快感に溺れた記憶である。それは蛇神の異界で贄となっている者たちの強い思念に吸収されていく。
ソラナの魔力も、自殺することで蛇神の贄たちの怨念に吸収されるはずだった。
ソラナが凶運から命がけの選択で抗い、ゴーディエ男爵へ強い愛情を抱いたことで、ゴーディエ男爵の運命にも影響を与えた。

ロンダール伯爵とアナベルは、ソラナとゴーディエ男爵は凶運から逃れたのを確認して、2回目の密会に応じた。

(ニルスたちが渡した牝の指輪で、ジャクリーヌ婦人の運命も変わった。運命が変わったゴーディエ男爵がソラナを連れて会いに行きたいと言うのは、何かの縁があるのかもしれない。それにしても、予想外のことが最近はよく起きるな)

ロンダール伯爵はゴーディエ男爵に、フェルベーク伯爵領からロンダール伯爵領を通過してブラウエル伯爵領へ行く旅路と、フェルベーク伯爵領からバーデルの都を通過してブラウエル伯爵領へ行く旅路があるが、どちらの旅路を選ぶかたずねてみた。

「ソラナの生まれ育った地域へ立ち寄ってみたいので。それに、バーデルの都に立ち寄って、フェルベーク伯爵領の貴族と顔を合わせたくありません。私は女伯爵エステルには、パルタの都の小貴族ということになっているので、フェルベーク伯爵になりすましていることを、女伯爵エステルに気づかれるのも厄介です」
「しばらくフェルベーク伯爵領を離れられることができるのであれば、ロンダール伯爵領をソラナとゆっくり旅をなさってはいかがですか?」


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