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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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ジャクリーヌ婦人と4人のメイド-2

「ニルスが会いに来たと伝えて欲しい」

ロイドは、ブラウエル伯爵の邸宅にいきなりニルスとエイミーを案内した。

「ああ、兄上様!」

近づいてきた子爵ヨハンネスの頭を、笑顔のニルスが撫でた。ヨハンネスがニルスに抱きつく。
エイミーが困惑した表情を浮かべているのが、ロイドにはおもしろくてニヤニヤしていた。
ヨハンネスの容姿や声は少女のような雰囲気で、とても少年だとは思えない。

「ヨハンネスから、事情はうかがいました。私の兄上ということですな」
「ブラウエル伯爵、俺は落ちこぼれで貴族じゃないし、貴方より歳下です。ですが、お会いできて光栄です」

ブラウエル伯爵は34歳の紳士。ニルスはようやく20歳になる青年である。
ブラウエル伯爵は、ニルスやヨハンネスの父親のルーク男爵と父親のケストナー伯爵に親交があったことを、ニルス夫婦に話して聞かせた。

「今日は噂で、ヨハンネスが結婚したと聞いて会いに来ただけです。父親とは、俺は妾妻の子でおたがい関わらないようにしている関係なので、噂を聞いてもヨハンネスのことだと気づいていませんでした。今日、大伯爵様から俺の弟のヨハンネスのことだと聞いて驚き、突然で失礼かと思ったのですが、訪問させていただいたのです。伯爵様、ヨハンネスをよろしくお願いします」
「こちらこそ、わざわざ御足労をいただき感謝しています。ヨハンネスのことはお任せ下さい」

挨拶が済むと、ニルスは応接間のソファーから立ち上がって一礼した。

「本当にヨハンネスに会いに来ただけなのですか?」
「はい、伯爵様、また機会があれば伺わせていただいてもよろしいですか?」
「もちろん歓迎します。いつでもお越し下さい」

握手を交わして、ブラウエル伯爵とヨハンネスは、ロイドとニルス夫婦を邸宅の玄関までついてきて見送った。

「ヨハンネス、私はてっきり君の兄上が私に何か頼み事をするために訪問したと思っていたよ」
「兄上はそういう人で、父上に頼ることのなく、王都から出奔してしまわれたのです。まさか兄上が会いに来てくれるとは思いませんでした」

ルーク男爵が手切れ金のようにニルスにまとまった金額の金を渡して、後継者争いを避けるために王都から離れさせた事を、子爵ヨハンネスは知らされていなかった。
ブラウエル伯爵は、ヨハンネスより貴族の慣習を知っているので、そうした裏事情も想像できた。ヨハンネスに子爵の立場を譲ったのだから、見返りに伯爵と結婚したヨハンネスの財産をたかりに来てもおかしくはない。
しかし、ニルスは本当にヨハンネスの様子を気にかけて会いに来ただけで帰ってしまった。父親のルーク男爵すらヨハンネスに会いに来ないのに、爵位を与えられず平民階級の立場にされている不遇の兄が、腹違いにも関わらず弟を心配して会いに来たということに、ブラウエル伯爵は感動していた。
ブラウエル伯爵にも、腹違いの妹フリーデがいる。父親のケストナー伯爵が生きている間は、親しく兄上と呼び慕ってくれていたのを思い出した。
ベルツ伯爵領へ嫁いだと聞いているが、どこの誰にフリーデが嫁いだのか、ブラウエル伯爵は知らない。

(フリーデは薄情な兄だと思っているかもしれないな)

「ヨハンネス、君に優しい兄上がいて良かった」
「ブラウエル様には、僕がずっとそばにいます」

ブラウエル伯爵はそれを聞いて、ヨハンネスを愛しさに抱きしめたくなり、寝室へ手をつないで連れていくのだった。

ロイドとニルス夫婦がブラウエル伯爵の邸宅から出ると、手下たちがブラウエル伯爵の邸宅の庭を手入れしていた。
かつて、ケストナー伯爵とフリーデの母親であるイメルラ夫婦か毒殺された庭である。

「あっ、親分、伯爵様に会いに来たんですか?」
「あれ、お前ら、こっちの仕事もやってるのか?」
「親分みたいに、俺らはぶらぶらしてないですからね〜」
「あー、お前ら伯爵様の邸宅のメイドが目当てだな」
「そ、そんなことありませんよ」
「たしかにさっき邸宅のなかで見かけたメイドたちも美人だったからな。でも、お前ら、あんまりしつこくするなよ。伯爵様の邸宅からジャクリーヌ婦人に苦情が来たら、俺まで巻きぞいになるんだからな」

手下たちと立ち話をしていたロイドがニルスとエイミーのそばに戻ってきた。

「親分って呼ばれてましたね」
「前まではロイドの兄貴って呼んでたんだけどな。最近は親分って呼ばれるようになった」
「ふふっ、じゃあ親分、次は私たちをどこに連れて行ってくれますか?」

エイミーが、ロイドに笑いかけて話しかけてくる。

「ルーカス、いや、ニルスか。ちょっと寄り道をしてもいいかな?」
「かまいませんがどこに?」
「市場通りの服屋についてきてくれ。良さげなドレスがあればいいが」
「えっ、ドレスですか?」
「ジャクリーヌ婦人がたぶん夜の食事は邸宅で一緒にいかが、とか言い出すと思う。その時に、ニルスの奥さんに着てもらうドレスを買いに行く」

仕立て屋の女主人と、女性店員の売り子
の3人がエイミーを店の奥の部屋でドレスの試着のために連れていく。
ニルスとロイドは、店内の隅の椅子に腰を下ろして待たされていた。

「ここの店は、下着や靴下まで女の服をまとめて揃えてくれるのは便利でいいんだけど、酒場の娘たちの制服とかも、この店で作ってもらうらしい。待たされる時は、ひとりだと気まずくてな」

店内は女性客だけで、男性客はロイドとニルスだけである。女性客がたまにちらちらとロイドとニルスを見ている。

「レルンブラエの街は、いいところですね。雰囲気が明るくて」
「金かあるなら住みやすい。他の伯爵領の村よりも便利だな。あと買い物に来てる娘たちは、みんな村娘なんだぞ」
「そうなんですか?」
「近くの村から買い物に来てるんだよ。この街には、近くの村まで往復する馬車の乗り場まであるんだぞ」


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