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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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牡のリングと牝の指輪-2

ニルスは他の参加者たちに、勝負で勝ったら分け前をやるから、絶対に最後の勝負だけはおりるなと説得した。
この木札勝負は、10回で場を閉めて参加者の交代をうながす。
ニルスは、この木札勝負は10回目の勝負はディーラーが勝つ癖があるのに気づいている者から話を聞いて、イカサマ勝負かもしれないと考えた。
最後の10回目の勝負は参加者は大金を賭けて勝負することが多い。
賭け金が尽きれば、参加者は10回目まで勝負できずに見物するしかないからである。
ニルスは9回目まで、5人の参加者全員で最低賭け金の金貨2枚で参加させた。最後の勝負で全員が有り金全部で勝負しニルスが10倍で勝負を宣言した。
ディーラーのエイミーは引き分けを宣言せずに勝負を受けた。
ディーラーは指輪をつけていて、1から5の木札に手をかざすと、小さな痛みがあり、1から5の木札が伏せられていても感じることができる。
ディーラーのエイミーが、5枚のうち1枚の木札を選ぶ。それをニルスは、エイミーの手の指輪をつけている指の動きを見ていた。

「これだけの大勝負だ。そっちが先に木札をめくってくれよ」
「いいですよ。しかし、私の数字を見て勝負からおりないのが条件です」
「そっちに1が出ても、勝負だからおりない。勝負だ!」

エイミーは引き分けを宣言せずに木札を開けてしまった。数字は3。
大勝負を見物していたやじ馬たちがため息をつき、仲間の参加者たちがニルスの顔を大丈夫かと不安になり見つめる。

「この勝負、俺の勝ちだ!」

ニルスの木札の数字は2。
仲間の参加者が感心してニルスを見た。

「絶対に勝てる1ではなかったのに、貴女は引き分けを宣言しなかった。自分の数字が3だったから、勝てると思い込んで、相手が1か2の木札を引き当てている可能性を無視した。引き分けにしていれば損害は少なかったのに。ずっと客に勝たせても、少額で勝負されてイライラしていたのね」

女伯爵シャンリーは、勝負に参加していた。ニルスが自腹を切って仲間を集めているところから、なりゆきをこっそり見ていたのである。
エイミーが木札の上にさっと手をかざして、1から5の札を探している時、ニルスだけエイミーの顔を見ていなかった。
他のシャンリー以外の参加者はエイミーの表情の変化はないか、目線は動かないか、じっと見つめていた。
シャンリーはニルスを観察していた。
シャンリー以外の参加者たちが表情を注目するなかで、エイミーは指輪が指にかすかに反応する感覚に集中するため、目を閉じていた。

「貴女は引き分けにすることを考えられないように挑発された。坊やは貴女が数字の1の木札を引き当てる可能性より、自分たちが仕掛けた勝負を貴女に引き分けにされることのほうがこわかった」

ニルスは協力してくれた貴族らしい仲間に分け前を分配した。指輪をつけた指が反応することは、仲間にも事前に話しておらず、木札に目印があるんだとだけ説得していた。

ニルスと一緒に参加したのは、フェルベーク伯爵、親衛隊隊長ギレス、ロンダール伯爵、女伯爵シャンリーである。
指輪と木札のイカサマは、ロンダール伯爵が用意したものであった。
フェルベーク伯爵を女伯爵シャンリーはバーデルの都へ招待した。フェルベーク伯爵にギレスを護衛として常に同行させている。ギレスが隊長として部下をまとめている凛々しい姿を見て、ギレスをベッドの上で犯し弄ぶことができる優越感にフェルベーク伯爵は上機嫌だった。
ロンダール伯爵は、死の眠りの祟りは、かつて激戦地だったバーデルの都が原因ではないかと、メイドのアナベルを連れて調べに来ていたのである。
この4人が最後に賭けた金額は、かなりの高額だった。
負けても、賭博場の建造や運営費を出資した伯爵たちであり、利益として分け前をもらっている。ただ高額の金が動くほうが評判になり、客が集まるだろうと高額の賭け金を見せつけた。

エイミーは女伯爵シャンリーが賭博場の本当の運営者だと知らない。管理人にシャンリーは仕切らせている。

「この賭博場の利益は、伯爵領の税収入にはとても役立っているの。でも、貴女みたいな役立たずを使っていたら、すぐに潰れてしまう。私も参加していたから損害は抑えられたけれど」

シャンリーは微笑しながら、ニルスが王都から来た裕福な貴族の子で、エイミーが勝っていたら、ごっそり親に請求して破産させられたのに残念と緊張している賭博場の管理人の主人に話しかけた。

「マーカス、この役立たずの処分は貴方に任せるわ。うまくやりなさい」

ニルスは世間知らずな坊やだったので、1ヶ月待ってすべて現金で受け取れば、奴隷をバーデルの都で買って帰り、王都で爵位を買って、自分の邸宅に住めるほどの大金の報酬をマーカスに騙され、手に入れそびれたことに気づいていなかった。マーカスも賭博場の規定通りに賞金を払ってしまったら、裕福な賭博場の主人でいられなくなると思い、必死でニルスを騙した。

指輪と木札のイカサマを、ディーラーが1の数字の木札がわかるようにすることや刺激を強くするようにロンダール伯爵は、シャンリーから依頼されて言った。

「嫌だよ、そんなこと」
「なぜ?」
「1年もしたら、ディーラーの指は動かなくなるから。そもそも呪術で賭博のイカサマさせることで、ディーラーは代償を受けることを知らないんだろう?」
「それだけの報酬を受け取っているのだから、文句を言われる筋合いはないわ」

確かに短期間でどんな仕事をしても、ディーラーほどの収入は得られない。
その代償をエイミーはすでに奪われている。奴隷となる仕掛けをすでに体に施されていた。

「御主人様、このエイミーの体をお好きなようにお使い下さい。私は子を産むことはできません」

ディーラーとして選ばれた女性は、子が産めない体になることで、呪物の呪いで死ぬことから免れていた。指輪と木札は呪物である。


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