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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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ターレン王国の退廃-4

先発隊で、ガルドが宿場街を先頭で通り過ぎた時は、宿場街の住人たちは遠目だったこともあり、ガルドの顔まではわからなかった。

どうしたらいいか迷った。遠征に行くはずの騎士ガルドがまだ国内にいる。
兵士たちが金を使ってくれていたり、兵士たちの食事分の兵糧の余りは提供してくる話をソフィアからされて、ありがたいと思っている。
迷惑であれば、遠征軍の駐屯地の話を持ってきた奴隷商人シャンリーに苦情を伝えて騒いでいただろう。

「ソフィア様、あとブルーノさん、ちょっとお話があるのですが」

兵士たちが食事と晩酌を終えて、訓練の疲れから明日にそなえて眠る頃、宿場街の店主たちが、おかみさんの店に集まってきた。

そこで店主たちは、奴隷商人シャンリーから宿場街が駐屯地になれば景気が良くなり、戦が終わればニアキス丘陵や辺境の開拓が始まり、引き続き宿場街は儲かるという話を持ちかけられたことから、ソフィアとガルドに話し始めた。

「それなのに、なぜ、遠征なされないのですか、騎士ガルド様」

娼館の主人、宿場街で一番財力がある店主マルセロが、緊張しながらガルドに言った。

「なんだ、もうばれてるのか」

店主マルセロは、この時、ガルドから、貴族がいなくなれば、この国の平民階級の暮らしは負担が減った分だけ裕福になるという話を聞かされ、呆然となった。王がいて、貴族がいて、平民階級は基本的に半分の搾取をされる。それが当たり前なのだと、ずっと思ってきたからであった。
宿場街全体で一年間の売り上げの半分をマルセロは毎月徴収したり、時には立て替えたりして、王都へ納税している。

「辺境の村は果実酒を作っているが、獣人族の行商人に売っても、王国に納税していない。売れただけ儲かって、村人たちは楽に作業するために、働かせる奴隷を買って、村人に金を渡して働いてもらうよりも安く済ませている。奴隷はターレン王国で納税できずに逃げた者や働いてももらえる分配が少なくて、ターレン王国で生活できなかった者たちだ」

「しかし、国に納税しなければ、罰せられて、ターレン王国にいられなくなってしまいます」

マルセロは震える声でガルドに言った。目の前には貴族令嬢のソフィアがいる。納税しないで儲け続けられたら、どれだけ裕福に暮らせるだろう。しかし、それを貴族の前で口にすれば、国のやり方に平民階級のくせに、意見をするのかと捕らえられてしまう。

「みなさん、集められた収穫物やお金はどうなっていくのか知っていますか?」

ソフィアが、マルセロと店主たちを見渡して言った。

「国の蓄えという考えは嘘です。国王のものになります。しかし、王のものになるまでに、貴族に分配されます」

それがわかっていても、払わなければ罰せられて王国で暮らせないから、払っているのだと、マルセロは思う。

「王国の平民階級が上納して集めた王の兵糧や金で、兵士たちを連れている奴が言うのもおかしいかもしれないけどな。俺からすればターレンも、ゼルキスも、同じに思える」

ガルドはマルセロに言った。

「王と貴族。あとは全員、奴隷だよ。王国にいるってことは。俺は辺境から来たから、そう思える」

「ガルドは王を殺害して、宮廷の貴族を処刑すると言っています。私はガルドに協力することにしました。あなたたちも選んで下さい。ガルドに協力するか、今すぐここで殺されるかを」

「待て、ソフィア、俺はまだ、兵士たちを訓練したい。宿場街の人たちを殺したら、すぐに王都へ行かなきゃいけなくなるだろうが」

マルセロと店主たちは、ガルドよりも、貴族令嬢のソフィアのほうが危険人物だと判断した。

「ガルド様が、ゼルキス王国に遠征しない理由はわかりました。今、あなたたちに殺されるか、ガルド様が王にならない限り、私たちは反乱罪で捕らえられて、殺されるということですな」

「そうだ。どうする?」

「ガルド様、私たちは、奴隷商人シャンリーの話に乗せられて、遠征軍に協力すると契約を交わしました。しかし、ソフィア様は、遠征軍を解散させる命令を受けて宿場街へ来ています。解散すれば、兵士たちに帰るところは、この国にはありません。辺境へ逃れて奴隷になるか、ゼルキス王国へ逃れるかしか残されていないのです」

志願兵は故郷を捨てた平民階級の若者たちで、元の生活に戻れない者も多い。働き口である農作地や店が、働く者に対して少ないからだと、マルセロはガルドに言った。

「遠征軍が辺境を制圧して、ターレン王国の領土となれば、街と農地が増え、働き口が増える。そして、王都と辺境をつなぐ街道沿いの宿場街も繁盛すると見込んで、私たちは遠征軍の駐屯地として、宿場街を提供する契約を結んだのです。このまま遠征軍が解散してしまえば、行商人たちが戻ってこない限り、また寂れてしまう。ガルド様が王になったら、辺境を制圧して領土にするつもりはあるのですか?」

「ゼルキス王国もいずれ俺の国にするつもりだ。そのために、今の王や宮廷の貴族どもは殺す」

「いいでしょう。私はガルド様に協力することにする。さて、他の店主たちはどうするのかね?」

「ガルド様、あたしをあんたの兵士たちの料理番に連れて行く気はないかい?」

ガルドの前に酒を置いたおかみさんは、テーブルに手をついて言った。

「やれやれ、女のほうが勇ましいな。俺としては助かるけどな」
「あたしの名前はイザベラ。今後からあたしはあんたの仲間。あんたの女でも、手下でもない。それでいい?」
「おかみさんって呼ばせてもらうよ、イザベラ。うまい飯を作ってくれ」
「あたしは覚悟を決めた。あんたたちはどうする?」

宿屋や他の酒場の主人たちは顔を見合せて。小声でしばらく話し合っていた。

「私たちもガルド様に協力する。兵士たちが王都に向かうのを見逃したと、あとで貴族たちに責任をかぶせられるなら、同じことだ」


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