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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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参謀官マルティナ-1

ニアキス丘陵周辺の森林地帯。
ゼルキス王国、ターレン王国、どちらからも、辺境、と呼ばれている地域で異変が起きていることに気がついたのは、聖騎士ミレイユだけではなかった。

神聖騎士団の参謀官マルティナ。紫色の瞳を持つ才女は異変を察知した。

神聖教団の神殿がある聖地の古都ハユウは、大山脈が連なる大陸北域でも、空気の薄いかなりの高山域にある。
大山脈の麓は岩と荒れ地で、獣人族の都があるが、人間族の王国は、平原地域に入らなければない。
大陸中央のエルフ族の樹海を囲むように広がる平原地域には、いくつもの王国が存在している。
大陸の東方の王国と南方の王国は、海沿いにある。海を渡って船乗りたちが交易をしている。
大山脈を源流とする大河によって、平原地域の王国と東方の海沿いにある王国は隔てられている。南方は砂漠を越えて、その先の海沿いに王国があるため、平原中央地域から離れている。

ゼルキス王国と中央の平原地域との間は大山脈ほど険しくはないが、山岳や大湿原があるため、中央平原地域の領地争いには巻き込まれる心配がない分、戦となると、援軍要請などができない不便さもある。

獣人族の行商人たちは、途中の国々で取引を行いながら渡り歩いている。
国に属していない村などをよく把握していることや、獣人族に対し友好的な人間族の王国なども把握している。
大砂漠を横断せずに東方の王国から南方の王国へ、海路を使い移動する。大河は上流から下流へ河沿いの村の船乗りに頼み河を下り、東方の王国へ向かうなどの工夫で渡り歩いている。
旅に生き、旅に死す。獣人族は定住せずに暮らしている。

北方の獣人族の都は、職人であるドワーフ族と獣人族の共存している王国となっている。ドワーフ族は旅を嫌う。大山脈の鉱石や良質の木材が、他の地域では得られないからである。
獣人族は、ドワーフ族の作る装飾品などを人間族の貴族なとに売り、その利益をドワーフ族と分け合っている。

大陸のほぼ全域に、神聖教団の僧侶たちは、布教活動を行っている。

ゼルキス王国にも、王宮に儀式の間という床石や壁に魔法陣や古代エルフ語の呪文の文字が刻まれた大広間がある。
これは魔法の瞬間移動の仕掛けで、遥か遠方にある神聖教団の神殿とつながっている。
そして神聖教団の神殿からは、大陸各地に人を送る瞬間移動の仕掛けがある。
これは海の上や砂漠などに放り出すことも可能で、罪人の処罰にも使われた恐ろしい歴史がある。

古代エルフ族の遺産である魔法技術は、職人のドワーフ族や人間族でも博学な者たちに伝えられている。
獣人族は、魔法の道具などを使用はするが、人間族のように魔法技術を使った仕掛けなどを作ったりはしない。
買えば済むものを作る必要はない、という考え方を持っている。

マルティナは、神聖教団の神官である。
王族の賢者マキシミリアン、国王レアンドロ、聖騎士ミレイユのみが、それを知っている。

神聖教団は人間族の王国の一部の王家とつながりがある。
ゼルキス王国でいえば、建国時に呪われた地を、人が安心して住める地にするために、神聖教団が全面協力したつながりがある。
他の王国でも、王の病を治癒したなど、教団の知識や技術で協力し、神聖教団は国教として保護してもらうという関係を結んでいる。
ターレン王国の王家と神聖教団はつながりがない。だが、ゼルキス王国からターレン王国建国前には、すでに布教活動が行われた。ターレン王国では、貴族ではなく平民階級の人々が女神ラーナを信仰している。

マキシミリアンや聖騎士ミレイユが戦場で活躍したのは、神聖教団につながりのある王国が、救援要請を神聖教団に依頼した結果である。
ゼルキス王国とは同盟関係にあるわけではない、平原地域の王国の領土争いに参戦して戦況を覆してみせた。
マキシミリアンは英雄、聖騎士ミレイユはゼルキスの戦女神という異名で知られている。
こうした布教活動以外の活動もあり、人間族の暮らす地域では、愛と豊穣の女神ラーナの信仰が広まっている。

神聖教団は組織としては、大陸の情勢に強い影響力を持つ。

エルフ族の領域である樹海は、侵略してはならないという認識がある。それはエルフ族と神聖教団はつながりがあると思われているからである。

神聖教団の魔法技術は、エルフ族とのつながりによって得たものという噂に対して、神聖教団は否定しなかった。

平原地域にも神聖教団以外の宗教組織はあった。神聖教団とのちがいは、祈祷や相談などに対して結果が出た時に「我々の信仰する神の奇跡」と言って、貴族や平民から寄付金などを謝礼で受け取ったことである。

神聖教団は金銭を基本的に要求しない。
病を治療しても、神聖教団は祈祷の結果ではなく、食事の改善や薬が効いたのと、本人が治りたいと強く望み協力してくれたからで、効果があって本当に良かったと共に喜び、信仰は万能ではないと必ず伝える。

神聖教団が金銭を要求しないのは、資金力があるからでもある。これには、裏事情がある。

大陸に小国が乱立した古い時代もあり、そうした時代の王族の墳墓には莫大な財宝が埋蔵されていた。
神聖教団とは異なる宗教の信仰で、財宝を墳墓に埋葬すれば、死後の世界でも裕福でいられるという考えで作られ、国が滅びたあとも放置されて手つかずの時代があった。
神聖教団は墳墓を発掘した。
墳墓には、墓の番人の兵士や召使いなども主人の墳墓に、道連れで生き埋めにされていた。そうした人たちの亡霊から自分の命を守るために、霊視、呪詛祓いなどの技術が研究された。
成果がなければ死ぬ。技術は向上した。
エルフ族にはこうした歴史がないので、亡霊などへの対応策では、人間族の神聖教団の方が優れた技術がある。
資金となる財宝と、見えない怪異に対する技術をこうして神聖教団は得た。

女僧侶リーナは知らない裏事情を、神官のマルティナは知っている。


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